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企業がネットで誹謗中傷を受けた場合の対処方法

  • ネット誹謗中傷

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今はどのようなことでもネット上で簡潔してしまうネット社会です。企業経営においても、ネットによる影響を軽視することはできません。

しかし、ネット上では、誹謗中傷被害が発生することが非常に多いです。企業が謂われのない中傷を受けると、風評被害が発生して、商品やサービスが売れなくなるなど大きな不利益が及びます。

今回は、企業がネット上で誹謗中傷被害を受けた場合の対処方法について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

ネット誹謗中傷問題とは

現代社会では、企業も個人も「ネット誹謗中傷問題」に対応する必要があります。ネット誹謗中傷問題とは、ネット上で謂われのない誹謗中傷を受ける被害のことです。内容が真実であっても、場合によっては名誉毀損などの問題が発生します。

ネット上では、誰でも簡単にどのような内容の発言でも行うことができます。相手の顔が見えない上、文字だときつい印象を与えるので、ついつい行きすぎた表現をしてしまうのです。

そこで、ネット上では、名誉毀損などの問題が発生しやすくなっています。企業に対しても名誉毀損が行われることがあり、その場合、企業がさまざまな不利益を受けることになります。

企業が誹謗中傷を受けたときに受ける不利益

商品やサービスが売れなくなる

企業がネット上で誹謗中傷を受けた場合の直接的な不利益は、企業が発売している商品やサービスが売れにくくなることです。たとえば、商品が粗悪品だと書き込まれたら、その情報を信用した人はその商品を購入しなくなるでしょう。飲食店で「衛生状態が悪い」「不味くて食べられない」「食品偽装」などと書き込まれると、客足が落ちて閑古鳥が鳴く、ということにもなりかねません。悪徳業者であるなどという情報が広まると、その企業にサービスの申込みをしようと考える人はほとんどいなくなります。

企業にとって売上げが低下すると死活問題です。

従業員のモチベーションが低下する

企業に対する誹謗中傷が行われて世間に広まると、当然従業員もその情報を知ることになります。すると、従業員の仕事へのモチベーションは大きく低下してしまいますし、退職希望者が出てしまうこともあります。企業としての力は、大きく損なわれるでしょう。

良い人材が集まらなくなる

企業にとって、人材は宝です。しかし、たとえば「〇〇社はブラック企業」などという誹謗中傷が広まると、就職希望者もいなくなって、優秀な人材を集められなくなります。このことによっても、企業の力が低下します。

企業の信用が低下する

ネット上では、企業の経済状況について噂を流されることもあります。たとえば、「倒産寸前」とか「火の車」などと言われると、その企業と取引をしようという相手を見つけることが難しくなります。金融機関は基本的にネットの情報に踊らされるものではありませんが、そういった情報を考慮しないとも限りません。追加の融資を受けにくくなったりするおそれもあります。

企業に対するネット誹謗中傷が起こりやすいサイトとは

企業に対するネット誹謗中傷が起こりやすいサイトやネット上のページには、以下のようなものがあります。

SNS

近年、ツイッターやインスタグラムなどのSNSの影響は、すさまじいものがあります。たとえば飲食店の誹謗中傷情報がSNSで広まり「炎上」してしまったら、店には誰も来なくなってしまうおそれがあります。

ブログ

個人のブログにおいて誹謗中傷が行われることも多いです。読者の多い人気ブロガーなどに「まずい」「サービスが悪い」「店員の態度が最悪」「事故が起こった」などと書き込まれたら、その日からお客さんが全く来なくなることもあります。

ネット掲示板

2ちゃんねるや爆サイなどのネット掲示板でも、企業に対する誹謗中傷が行われることがあります。飲食店の味や衛生状態に関するクレームが書き込まれることもありますし、電気製品が「事故を起こした」などと書き込まれることもあります。

真実であればやむを得ないこともありますが、ライバル企業が虚偽の情報を書き込むことなどもあるので、注意が必要です。

食べログや商品のレビュー

食べログなどの飲食店紹介サイトやアマゾンなどの通販サイトには、レビューがあります。こうしたレビューを参考にして商品を購入したり、食事をするお店を決めたりする人は非常に多いです。

しかし、こうしたレビューサイトでは、虚偽の書き込みが非常に多いです。自社がサクラで書き込みをさせていることもありますし、ライバル企業やお店の関係者が嫌がらせのレビューをすることもあります。

企業に対するネット誹謗中傷で成立する犯罪

ネット上において、企業に対して誹謗中傷を行うと、犯罪行為になる可能性があります。以下では、ネット誹謗中傷によって成立する犯罪について、説明をします。

名誉毀損罪

企業に対して誹謗中傷をすると、名誉毀損罪が成立する可能性があります。名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示することによって対象者の社会的評価を低下させたときに成立する犯罪です。ネットは誰でも見ることができるので、「公然と」と言えますし、名誉毀損の対象者は個人だけではなく企業も含まれるので、事実を示すことによって誹謗中傷の投稿をすると、名誉毀損に該当します。

また、名誉毀損罪が成立するのは、「虚偽」を書き込んだケースだと思われていることがありますが、それは間違いです。「真実」の書き込みをした場合にも、「事実の摘示」である限り、名誉毀損になります。

名誉毀損罪の刑罰は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金刑です(刑法230条1項)。

業務妨害罪

企業に対する誹謗中傷によって企業の売上げが低下した場合などには、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。偽計業務妨害罪とは、相手を騙したり虚偽を流したりして他人の業務を妨害するときに成立する犯罪です。たとえば、「あの店では産地偽装をしている」などと虚偽の投稿をして飲食店の業務を妨害すると、業務妨害罪となります。

業務妨害罪の刑罰は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です(刑法233条)。

信用毀損罪

虚偽の書き込みによって企業の経済的な信用を毀損した場合には、信用毀損罪が成立します。たとえば、「あの企業は倒産寸前だ」「債務超過」「給料も未払になっている」などの虚偽の投稿をした場合です。

信用毀損罪の刑罰も、業務妨害罪と同様3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です(刑法233条)。

ネット誹謗中傷で成立する民事責任について

不法行為責任が発生する

ネット上で他者を誹謗中傷すると、民事責任も発生します。民事責任とは、民法上の不法行為責任のことです(民法709条)。故意や過失によって、他人に損害を発生させたときに民事責任が発生します。誹謗中傷を行うと、企業に営業上の損失などが発生することは通常容易に予想されるので、あえてネット上で誹謗中傷をすると、不法行為が成立します。

不法行為が成立すると、被害者は加害者に対し、損害賠償請求をすることができます。企業が名誉毀損、業務妨害などの被害を受けたときには、売上げ低下分などの営業損失を相手に請求することができます。

損害賠償責任を追及するために証明すべき事項について

売上げ低下分の損害賠償請求をするときには、以下の内容を証明することが必要です。

対象者が、その投稿をした事実

まずは、対象者(犯人)がその投稿をしたことを証明する必要があります。ネット上の投稿は、たいてい匿名で行われるので、対象者が本当にその投稿をしたのかどうかを明らかにする必要があるのです。ライバル社の関係者が書き込みをした場合で、被害企業にとっては「明らかにあの会社の人間が書いたに違いない」とわかる場合でも、そのことを証明できなければ、損害賠償請求することができません。

売上げが低下した事実

売上げ低下分の損害賠償請求をするためには、実際に売上げが低下した事実を証明する必要があります。感覚的に客足が減ったと感じていても、帳簿などから実際に売り上げが減っていることを証明できなければ、損害賠償は認められません。

低下した売り上げの金額

売り上げが低下した場合、どのくらい売り上げが下がったのかも重要です。損害賠償請求をする場合、いくらの賠償を求めるのか、金額を明示する必要があるからです。前年度や前月などの売り上げと比べて、具体的にどのくらい売り上げが下がっているのか明らかにしましょう。

ネット誹謗中傷が原因であること(因果関係)

売り上げが低下しているとしても、それがどのような原因によって発生したかが問題です。たとえば、ネット誹謗中傷前から徐々に売り上げが下がってきていた、というケースでは、誹謗中傷被害と売り上げ低下に因果関係が認められない可能性があります。

企業がネット誹謗中傷されたときに必要になる対処とは

企業がネット上で誹謗中傷された場合、どのような対処が必要となるのでしょうか?

記事を削除させる

まずは、対象となっている投稿を削除することが必要です。記事や投稿内容が残っている限り、それを見る人がどんどん増えてしまいますし、SNSなどに転載・リツイートなどをされて、情報が拡散されてしまうからです。

記事を削除させるためには、サイトの管理者に連絡を入れて、任意での削除を求めることが基本です。サイトによっては不適切な投稿の通報制度や削除依頼の制度が設けられているので、利用しても良いでしょう。

このような方法でうまくいかない場合には、裁判所で「仮処分」という手続きを利用する必要があります。仮処分とは、訴訟をする前段階で、権利保全の必要性が高いときに、仮に法的な決定を行うことです。誹謗中傷の投稿を放置しておくと、被害がどんどん広まってしまうので、裁判所から相手に対し、記事の削除命令を出してもらうことができます。

犯人を特定する

ネット誹謗中傷トラブルを本当の意味で解決するためには、投稿をした犯人を特定することが重要です。記事を削除しても、犯人には何のペナルティもないので、放っておくと、何度でも同じことを繰り返される可能性があるからです。特に、ライバル社が嫌がらせの投稿をしているときには、不当な投稿やレビューを削除させても、何度でも営業妨害が行われるでしょう。根本的に問題を解決するためには、犯人を特定して然るべき措置をとる必要があります。

ネット上の投稿は匿名で行われているので、犯人を特定するのは容易ではありません。まずは仮処分によって相手のIPアドレスを特定して経由プロバイダを明らかにします。その上で、プロバイダに対して訴訟を提起して、裁判所からプロバイダに対し、犯人の情報開示命令を出してもらいます。これにより、投稿を行った犯人の氏名や住所、メールアドレスなどが開示されて、犯人を特定することができます。

損害賠償請求をする

相手を特定することができたら、相手に対して売り上げ低下分の営業損失について、損害賠償請求を行います。相手が任意に支払わない場合には、損害賠償請求訴訟(裁判)を行うことにより、裁判所から犯人に対して賠償金の支払い命令を出してもらう必要があります。

刑事告訴をする

犯人が特定されたら、刑事告訴をすることもできます。刑事告訴をすると、警察が犯人を逮捕することがありますし、犯人が起訴されると刑罰を適用させることも可能となります。

二度としないことを約束させる

ネット誹謗中傷被害を受けた場合、再発を防ぐことが非常に重要です。そのためには、犯人を特定した後に示談をしたり刑事手続きを進めたりする中で、犯人に、二度と同じような過ちを繰り返さないことを約束させることが有用です。

示談書に「もう二度と書き込みをしません」と書き入れることもできますし、別途誓約書を提出させることも考えられます。

企業のネット誹謗中傷問題は、弁護士に依頼する必要がある

企業がネット上で誹謗中傷被害を受けた場合、対応を弁護士に依頼する必要性が高いと言えます。以下で、その理由を説明します。

スピーディに対応できる

ネット誹謗中傷被害を受けたとき、自社ではまず何をして良いのかわからないと感じることが多いです。ただ、一刻も早く対応をしないと、情報がどんどん拡散されてしまいます。

弁護士に対応を依頼していると、すぐに記事削除に向けた対応を開始できるので、時間が無駄にならず、大きなメリットがあります。

仮処分を利用できる

ネット上の投稿を削除させるためには、仮処分が必要になることが多いです。ただ、仮処分は、裁判所を利用した非常に専門的な手続きです。書面審理が主となるので、主張や証拠を書面にまとめて裁判所に提出し、権利保全の必要性があることを理解してもらう必要があります。審尋でも適切な対応をしないと、記事削除命令を出してもらうことができません。

弁護士が対応していると、スムーズに仮処分手続を進めて記事の削除命令を出してもらい、誹謗中傷被害の拡散を最小限にとどめることができます。

訴訟によって確実に相手を特定できる

ネット誹謗中傷被害を受けたときには、犯人の特定が必要ですが、犯人を特定するのはかなり大変な作業となります。まずは裁判所で仮処分の手続きをした後、改めてプロバイダに対して裁判をしなければならないからです。訴訟のやり方がまずいと、判決で情報開示命令が出ず、犯人特定に失敗してしまいます。

弁護士がついていたら、迅速に、法律知識やノウハウを駆使して訴訟を進め、より確実に犯人の情報を獲得することができます。

賠償請求や刑事告訴もスムーズ

ネット誹謗中傷の犯人を特定したら、その後、損害賠償請求や刑事告訴などの手続きを進めなければなりません。このとき、自社で対応すると、相手から無視されることもありますし、効果的に警察を動かすことも難しくなります。相手に損害賠償請求の内容証明郵便を送っても、無視されて引き下がってしまったら、余計に相手を助長させることになってしまいます。

弁護士に対応を依頼していたら、弁護士名で相手に内容証明郵便を送ってプレッシャーをかけることができますし、相手が支払いをしないなら、速やかに損害賠償請求訴訟を提起して、確実に賠償金を支払わせることができます。また、弁護士が代理人として刑事告訴手続きを行う場合、証拠もきちんと整理されていますし、放置するわけにもいかないので警察も捜査を開始しやすいです。

このように、弁護士に対応を依頼すると、犯人特定後の手続きもスムーズになるので、大きなメリットを受けられます。

ネット誹謗中傷問題は、弁護士法人YMPまでお任せ下さい

企業がネット誹謗中傷を受けた場合には、早期に適切な対応をとる必要性が高いです。そのためには、日頃から法律トラブルを相談することができる顧問弁護士がついていると、効果的です。

弁護士法人YMPは、積極的に中小企業の顧問弁護士業務に取り組んでいる弁護士事務所です。気鋭の弁護士が、御社のさまざまなご要望にお応えいたします。ネット誹謗中傷被害が発生した場合や将来のリスクに備えたい場合には、是非とも一度、当事務所の弁護士までご連絡下さい。