お電話でのご相談

0120-636-613
平日9:00~18:00(定休日:土日祝)

気になること、お困りごとは何ですか?

ネット誹謗中傷で相手を特定する手順とは?

  • ネット誹謗中傷

公開日:

企業にとって、「評判」は非常に重要です。社会内での評判が低下すると、商品やサービスも売れにくくなりますし、取引先との関係が悪化したり、優秀な人材を集められなくなったり株価が下落してしまったりする要因ともなります。

そして、現代社会はネット社会ですから、ネット上での誹謗中傷対策が重要です。今回は、ネット誹謗中傷被害を受けたときに、投稿者を特定する手順について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

ネット誹謗中傷で、相手を特定する必要性

ネット上で、企業が誹謗中傷被害を受けるケースは多いです。たとえば、2ちゃんねるなどの巨大なネット掲示板で根拠のない悪口を書かれることもありますし、就職活動用の掲示板で、面接に落ちた学生が企業の悪口を書き込むこともあります。食べログなどの各種の口コミサイトやレビューサイトにおいて、同業者からの嫌がらせの投稿が行われるケースも見られます。

このようにネット上で誹謗中傷されたとき、投稿者はたいてい匿名で書き込みをしています。そこで、誹謗中傷被害を受けても、誰が書いたのかを特定できないケースがほとんどです。自社としては「あの会社がやったに違いない」と思っても、そのことを証明できなければ、責任を追及することはできません。

そこで、ネット誹謗中傷被害を受けたら、まずは投稿者を特定することが重要となります。

ネット誹謗中傷で、相手を特定する流れ

ネット上で誹謗中傷を受けたとき、投稿者を特定するためには、以下のような手順で手続を進めましょう。

  • サイト管理者へ任意開示を求める
  • 仮処分によって強制開示させる
  • IPアドレスからプロバイダを割り出す
  • ログ保存の仮処分を行う
  • プロバイダに任意開示を求める
  • 訴訟によって強制開示させる

以下で、それぞれがどのようなことなのか、説明をしていきます。

サイト管理者へ任意開示を求める

誹謗中傷被害を受けたとき、明らかになっていることがあります。それは「どのサイトに投稿されたか」ということです。つまり、通常「サイトの管理者」自体は明らかになっているものです。そこで、まずはサイト管理者にアクセスして、所持している情報を開示してもらいます。サイト管理者がわからない場合には、ドメイン代行業者に照会をして(弁護士法23条照会を使います)、ドメイン登録業者を明らかにします。

その上で、サイト管理者に対し、投稿者のIPアドレスやスタンプの開示を求めます。IPアドレスやスタンプは、投稿者本人を特定するために必要な情報です。

仮処分によって強制開示させる

ただ、サイト管理者にIPアドレスなどの開示請求をしても、任意には応じないケースが多いです。そのような場合には、地方裁判所で「仮処分」という手続きを申し立てて、裁判所からサイト管理者に対し、情報の開示命令を出してもらう必要があります。このとき、同時に投稿内容を削除させる内容の仮処分も申し立てることが多いです。

これらの仮処分の手続きを成功させるには、申立人が権利侵害を受けており、権利保全の必要性があることなどを「書面で」立証しなければなりません。かなり専門的な要素を含むので、スムーズに進めるためには、弁護士に対応を依頼すべき場面と言えます。適切に仮処分の手続を進めると、数週間程度でサイト管理者に対する情報開示命令が下ります。

すると、サイト管理者から、投稿者のIPアドレスやスタンプなどの情報が開示されます。

IPアドレスからプロバイダを割り出す

任意開示または仮処分によって、投稿者のIPアドレスを特定することができたら、そこから相手の経由プロバイダを調べる必要があります。IPアドレスをもとにして、どこのプロバイダを使っているのかを調べるためのサイトがあるので、そうしたサービスを使って特定します。

ログ保存の仮処分を行う

次に必要になるのは、「ログ保存」の手続きです。ログ保存というのは、プロバイダが保存している投稿者に関するログ情報やスタンプ情報を消されないように保存することです。

通常、ネット上に投稿が行われた場合、そのログやスタンプと言った情報がプロバイダに残ります。しかし、多くのプロバイダは、投稿後3ヶ月~6ヶ月程度で、こうしたログやスタンプを消してしまうのです。もし消えてしまっていたら、投稿者についての情報開示命令が出ても、相手は開示に応じることが不可能になります。そこで、情報を消されないように、プロバイダが判明した時点で保存しておく必要があるのです。

まずは任意で、プロバイダに対し、ログを保存するよう求めるのも1つの方法ですが、相手が応じるとは限りませんし、手違いで消してしまうこともあるかもしれません。そこで、多くのケースでは、ログ保存の仮処分を申請して、裁判所からログを保存するように命令してもらう方法をとります。

いったんログを消されてしまったら復活させることは困難ですので、弁護士にネット誹謗中傷対策を依頼されるときには、なるべくお早めにご連絡下さい。

プロバイダに任意開示を求める

ログ保存の処理を済ませたら、相手の経由プロバイダに対し、任意で投稿者の情報を開示するように求めます。このとき、プロバイダは、投稿者(プロバイダにとっては契約者)に対し、「発信者情報開示照会書」という書類を送付します。この書類は、投稿者本人に対し「情報を開示しても良いですか?」と尋ね、意思確認するためのものです。ここで、投稿者本人が「開示しても良い」と回答すると、プロバイダは投稿者の氏名や住所、メールアドレスなどの情報を開示してきます。

しかし、実際には開示を拒絶する投稿者がほとんどですから、プロバイダから任意で情報開示されることは少ないです。

訴訟によって強制開示させる

プロバイダに任意で情報開示を求めても拒絶された場合には、プロバイダに対し、発信者情報開示請求訴訟という裁判を起こす必要があります。

発信者情報開示請求訴訟とは、プロバイダに投稿者本人についての情報を開示させるための裁判です。請求が認められると、裁判所からプロバイダに対し、投稿者に関する情報を開示しなさい、という命令(判決)を出してもらうことができます。これは、仮処分ではなく本格的な訴訟なので、かなり時間も手間もかかります。半年程度はかかると考えましょう。また、勝ち負けがはっきりする手続きなので、適切に法的な主張と立証ができなければ、情報開示命令を出してもらうことができません。

判決で発信者情報開示命令が出たら、プロバイダから、投稿者本人の氏名や住所、電話番号やメールアドレスなどの情報を開示されます。

以上の手続きにより、ようやく誹謗中傷を行った投稿者を特定することができます。その後、相手に対し、必要な損害賠償請求を行ったり、名誉毀損や業務妨害で刑事告訴をしたりして、責任追及を進めていくことになります。

ネット誹謗中傷で、相手の特定は、専門家にお任せ下さい

ネット上で誹謗中傷被害を受けたとき、投稿者を特定する作業はかなり大変です。情報開示の仮処分、ログ保存の仮処分、IPアドレスの解析、訴訟など、専門的な対応を要する場面がたくさんあるためです。このような対応を適切にかつスピーディに進めるためには、専門家である弁護士による対応が必須と言えます。

弁護士法人YMPは、顧問企業が抱えるネット問題にも対応しており、各種のITにも強い弁護士事務所です。ネット誹謗中傷対策に取り組みたい企業様は、是非とも一度、ご相談下さい。