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相続放棄とは?メリット、デメリットを知って、確実に期限内に手続きする方法!

  • 相続問題

公開日:

親などが亡くなって自分が相続人になったとき、借金が残されていることがあります。借金も相続の対象になるので、放っておくと借金を相続してしまうことになり、注意が必要です。

相続をしないためには、相続放棄という手続きを利用することができます。今回は、相続放棄の方法や、メリット、デメリット、期限について、弁護士法人YMPの弁護士が、説明します。

相続の3つの方法

相続放棄とは、一切の相続をしないことです。

相続をするとき、単純承認と相続放棄と限定承認という3種類の方法を選ぶことができます。

単純承認

単純承認とは、条件をつけずにすべての遺産を相続することです。預貯金や現金、不動産などのプラスの資産も、借金や未払家賃などのマイナスの負債も、すべて相続します。

限定承認

限定承認とは、相続財産を差引して、プラスの部分があると、その分だけを相続することです。差引がマイナスになると、相続しません。

相続放棄

相続放棄は、すべての遺産を相続しないことです。預貯金や不動産などのプラスの資産も相続しませんが、借金その他の負債も相続せずに済みます。

相続放棄のメリットとデメリット

相続放棄をすると、どのようなメリットやデメリットがあるのか、説明します。

相続放棄のメリット

借金を相続せずに済む

相続放棄をする一番のメリットは、借金やその他の負債を相続せずに済むことです。相続人になったとき、被相続人が借金をしていたら、相続人が借金を引き継いで返済しなければなりません。借金だけではなく、未払家賃や損害賠償義務なども相続されてしまいます。

たとえば、父親がサラ金を利用していたり、事業用の多額のローンを組んでいたりすると、相続した子どもが返済しないといけません。父親が交通事故を起こして、多額の損害賠償義務を負ったまま亡くなったら、子どもが被害者に支払いをしなければならないのです。こういった負債について、遺産の中から支払いができない場合には、相続人自身の財産から支払わないといけません。それも出来ない場合には、相続人が自己破産しなければならない例もあります。

相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったことになるので、借金返済が不要になり、非常にメリットが大きいです。

他の相続人に相続させることができる

自分が相続人になっていても、他の相続人に遺産相続分を譲りたい場合があります。たとえば、子どもたち(兄と妹)が親の遺産を相続するとき、妹が兄に遺産をすべて取得させたいと考えるケースなどです。この場合、兄と妹が遺産分割協議をして、兄に遺産を全て取得させる方法でもかまわないのですが、資産の他に借金もある場合には、借金が妹にも相続されてしまいます。

そこで相続放棄をすると、プラスの資産もマイナスの負債も、まとめて兄に集中させることができてメリットがあります。

遺産トラブルに巻き込まれずに済む

遺産分割協議に参加したくない場合にも、相続放棄が役に立ちます。

たとえば、遠方や海外に居住していて、遺産にまったく関心がない相続人もありますし、遺産トラブルに巻き込まれたくない場合もあります。そのような場合には、相続放棄をすると、相続人ではなかったことになるので、遺産分割協議に参加する必要がなくなります。遺産分割協議が難航して調停や審判になっても、自分は無関係でいられるので、遺産相続に関心がない相続人にとっては、メリットが大きい方法です。

相続放棄のデメリット

相続放棄には、デメリットもあります。

プラスの資産も相続できなくなる

相続放棄のデメリットは、プラスの資産も相続できなくなってしまうことです。

遺産相続をしたとき、遺産の中に借金があることは確かだけれど、他に預貯金や株券、不動産などの資産も含まれていることは多いです。このようなとき、相続放棄をしてしまったら、プラスの資産も一切受け取れません。もし、プラスの資産の方が多かったら、相続放棄によって損をしてしまうことになります。

相続放棄をするときには、「どのくらい借金があるのか、どのくらい資産があるのか」を調べてから手続きすべきです。

相続放棄をするときの注意点

相続放棄をするときには、以下の点に注意しましょう。

相続放棄すると、次の順位の人に相続権が移る

相続放棄をすると、自分は相続しなくて良くなりますが、次の順位の人に相続権が移ります。たとえば、子どもが全員相続放棄したら、親に相続権が移ることになります。相続放棄をするときには、次順位の相続人にそのことを伝えておかないと、後からトラブルになってしまうおそれがあります。

相続放棄は撤回できない

相続放棄は、遺産相続を一切しないという決断であり、人生における重大事項です。後で気が変わることもあるかもしれませんし、後に思ってもみなかったような多額の遺産が発見されて、「やっぱり相続したい」と考えることもあるかもしれません。

しかし、いったん相続放棄をすると、撤回することはできません。そこで、相続放棄をするときには、「本当にそれで良いのか、後悔しないのか」、しっかり検討すべきです。

相続放棄の方法

相続放棄の申述を行う

相続放棄をするときには、家庭裁判所に対し「相続放棄の申述」をしなければなりません。相続放棄の申述をする家庭裁判所は、被相続人の居住地を管轄する裁判所です。

必要書類と申立書を提出する

基本的に、以下の書類が必要です。

  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続放棄する人の戸籍謄本
  • 被相続人の「死亡」の記載がある戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)

代襲相続人相続放棄する場合や親、兄弟姉妹が相続人になる場合には、さらに多くの戸籍謄本類が必要となります。

上記の書類を揃えて、「相続放棄の申述書」を作成し、家庭裁判所に提出をします。かかる費用は、収入印紙800円と、1000円くらいの郵便切手です。

相続放棄回答書を返送する

相続放棄申述書を提出すると、家庭裁判所から「相続放棄照会書・回答書」が送られてきます。相続放棄を認めてもらうには、回答書に記入して裁判所に返送する必要があります。相続が開始したことを知った日や把握している遺産の内容、被相続人との交流状況や相続放棄したい理由などを記載して、裁判所に返送しましょう。

その後、家庭裁判所が相続放棄を受理するかどうか、決定します。受理してもらえたら、自宅宛に「相続放棄申述受理通知書」という書類が送られてきます。これにより、正式に相続放棄が認められたということですから、無事に借金義務がなくなったことになります。

相続放棄の期限

相続放棄には期限がある

相続放棄をするときには、期限があるので注意が必要です。

相続放棄の期限は「自分のために相続があったことを知ってから3ヶ月」です(民法915条1項)。この期間のことを、熟慮期間と言います。熟慮期間を過ぎると、相続放棄ができなくなり、借金を相続せざるを得なくなります。

「自分のために相続があったこと」の意味

自分のために相続があったこと、というのは、基本的には被相続人が死亡したこと(または先順位者が相続放棄したこと)を意味します。ただし、遺産がまったくないと信じていたのであれば、相続放棄する理由がないので、熟慮期間が進行しないと考えられています。たとえば、父親が亡くなったとき、父親に財産も借金も全くないと信じていた場合には、熟慮期間が進行せず、いつまでも相続放棄出来ることになります。

しかし、遺産が全くないと信じていても、注意したら当然気づくはずだったという場合には、やはり熟慮期間が進行します。たとえば、被相続人宅のポストにサラ金やカード会社から督促書が届いているのに、相続人が気づかなかったと言うと、「ポストを確かめて、当然借金に気づくべきだった」ということになるので、3ヶ月経ったら相続放棄できなくなります。

自分が相続人になったときには、本当に借金や資産が残されていないのか、しっかりと財産調査しなければなりません。

相続放棄は、弁護士法人YMPにお任せ下さい!

相続人になったとき、注意しないと被相続人の借金やその他の負債を相続してしまい、大きな不利益を受けることになります。確実に、期限内に相続放棄をしなければなりません。

自分では相続放棄すべきかどうかわからない場合、相続放棄する方法がわからない場合などには弁護士にご相談いただきましたら、最善の方法をアドバイスいたします。お困りの場合には、一人で悩まずに、相続問題を専門とする弁護士法人YMPまで、お気軽にご相談下さい。