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従業員との紛争を解決できる「労働審判」とは?

  • 労働問題

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会社経営をしていると、従業員との紛争を完全に避けることは難しいものです。実際にトラブルが起こってしまったら、従業員の方から「労働審判」を申し立てられる事例が非常に多いです。

労働審判とはどのような手続きで、どのように対応するのが良いのでしょうか?

今回は、企業と労働者との間のトラブル解決手段である「労働審判」について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

労働審判とは

労働審判とは、被用者と雇用者の間の労使紛争を解決する目的に特化した、裁判所における手続きです。裁判所での手続きではありますが、訴訟とも調停とも異なります。当初は調停のように話し合いによる解決を目指しますが、最終的には裁判所が「審判」によって一定の結論を出します。調停と訴訟の中間的な性質を持ちます。

労働審判で解決できるのは、労働者と雇用者の権利義務に関する問題のみです。たとえば、賃料不払い(残業代不払い含む)、退職金の不支給、解雇の有効性などが争われることが多いです。

また、労使間の紛争である必要があるので、労働者同士の紛争を解決することはできません。たとえば、従業員間でのセクハラやパワハラについては労働審判の取扱い事項ではありません。ただし、社内で上記のような問題が起こっているにもかかわらず、企業が適切な対応をしなかったことが企業の「安全配慮義務違反」であるということになると、労働審判で従業員が企業を訴えてくることもあります。

労働審判の進み方

労働者または企業による申立てと期日への呼出

労働審判は、従業員側からも企業側からも申し立てることができますが、一般的には労働者の方から申立が行われることが多いです。残業代請求や解雇の有効性などをめぐって、従業員と雇用者が話合いをしても解決ができないときに、労働者の方が権利を確定するために労働審判を申し立ててきます。

申立があると、裁判所から企業側に対して労働審判審尋期日への呼出状が届きます。期日は、申立後30~40日後に指定されることが多いです。呼出状には、従業員の主張をまとめた書類が入っているので、企業はその内容をしっかり精査して、反論をしなければなりません。

答弁書の重要性

反論をまとめた書類のことを「答弁書」と言います。答弁書は、後に審判となったときにも重視される非常重要な書類なので、慎重に有効なものを作成する必要があります。提出期限も定められているので、必ず期限内に提出しましょう。期限を過ぎると、期日において企業に不利な調停案を出されたり、審判内容が不利になってしまったりする可能性があるからです。

調停による解決を目指す

期日には、雇用者側も必ず出頭しなければなりません。1回の期日にかかる時間はだいたい2時間程度ですので、予定を空けておく必要があります。第1回期日では、期日前に双方が提出した書面の内容を確認し、労働審判員が間に入って話合いが進められます。1回で終了しない場合には第2回期日、それでも解決できなければ第3回期日が開かれて、労働審判員から解決案(調停案)も出されます。

3回以内に、労働者側と雇用者側が合意に至れば、調停が成立してトラブルを解決することができます。実際に労働審判が起こったケースの約7割は、調停で解決しています。

審判が行われる

調停が成立しない場合には、労働審判官が審判を下して、問題解決方法を示します。審判をする際には、労働者側と雇用者側が提出した主張書面や証拠により、法的に判断を行います。そこで、企業としても、審判を見据えて事前にしっかりと法的主張を組み立てて、有効な証拠を提出しておく必要があります。

審判があったとき、労働者側も使用者側も異議を申し立てなければ、審判内容が確定します。どちらかが異議を申し立てると、審判は効力を失って訴訟となります。

労働審判にかかる期間

労働審判にかかる平均審理期間は2ヶ月半程度(70日程度)です。

労働審判のメリット

労働審判には、以下のようなメリットがあります。

迅速に解決できる

労働審判を利用すると、通常訴訟よりも迅速な解決が可能です。通常訴訟の場合には1年以上かかってしまうこともありますが、労働審判なら2ヶ月半程度で解決することができます。紛争を抱えていることは、企業経営にとってもマイナスになりますので、このように早く解決できることは大きなメリットと言えるでしょう。

労力が少なくて済む

労働審判は、通常訴訟に比べると労力が少なくて済みます。期日の開催数も少ないですし、期日進行は書面審理だけではなく話合いを中心となるため、専門知識が無くても対応しやすいです。そろえるべき資料も、裁判と比べると少ないです。

審判を出してもらえる

労働審判では、労働者と雇用者の間で調停が成立しない場合、労働審判官が審判を下すので、一定の解決指針が示されます。両者がそれを受け入れると、問題を終局的に解決することも可能です。

調停の場合には、解決方法が提示されないので、話合いが決裂したら訴訟をするしかなくなります。これと比べると、労働審判には最終解決につながりやすいメリットがあると言えます。

企業が労働審判に臨む際の注意点

ただし、企業が労働審判に臨む際、注意点もあります。それは、非常に迅速かつ確実な対応が求められる点です。労働審判では、3回の期日が終了すると、すぐに審判が行われるので、それまでにすべての主張と証拠を整えて提出する必要があります。そのためには、第1回期日前から綿密に準備をしておかなければなりません。労働審判では、この事前準備をしっかりと行えていなかったために、企業側に不利な結果になってしまう例が非常に多いのです。

また、労働審判を話合いで終わらせるには、企業が解決金を支払わなければならないことがほとんどです。そこで、どのような理由で、どのくらい解決金を減額できるかが重要なポイントとなってきます。労働者側に落ち度は無かったのか、勤続年数や勤務実績が少ない従業員ではないか、解雇期間中に他で働いて賃金を得ていたのでは無いかなど、さまざまな要因によって減額の根拠とすることができるので、こうした事情を見落とさずに拾っていく必要があります。

労働審判を弁護士に依頼すべき理由

企業が労働審判に望むとき、自社のみで対応するとさまざまな不利益を受けることとなりやすいです。

まず、準備が不十分になるので、労働審判員から企業側に不利な調停案を出されたり、審判が不利な内容になってしまったりすることがあります。また、スムーズに対応できないため、本来なら1回で解決できるところを、何度も期日を開催しなければならなくなることもあります。

これに対し、弁護士が介入すると、確実な準備対応が可能となり、有利な解決を実現できる見込みが高まりますし、迅速な解決を実現することもできます。企業に有利な事情を確実に主張・立証して、相手に支払う解決金を効果的に減額することも可能となります。さらに、労働審判の手続きをすべて弁護士に任せることにより、企業は労働審判の煩雑な準備や進行から解放されて、経営に専念できることも、大きなメリットとなります。

労働審判への対応は、弁護士法人YMPにお任せ下さい

弁護士法人YMPは、企業の抱える労使問題に非常に力を入れている法律事務所です。中小企業の顧問も多く、就業規則の策定から社内マニュアルの整備まで、「紛争が起こらない会社作り」のサポートを行っております。もちろん、実際に起こってしまった労働審判への対応も万全に執り行います。

労働問題でお悩みの企業様は、是非とも一度、ご相談下さい。