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自筆証書遺言作成方法と、無効にならないためのポイントを解説!

  • 労働問題

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遺言書を作成すると、死後の遺産トラブル予防に効果的です。自筆証書遺言なら自宅で手軽に作成できるので、「作っておこう」と考えている方も多いのではないでしょうか?

しかし、自筆証書遺言には厳しい要式があり、要式を守らないとすぐに無効になってしまうので、注意が必要です。以下では、自筆証書遺言の作成方法と、無効にならないためのポイントを、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、全文を自筆で作成するタイプの遺言書です。

遺言書には、普通方式のものと特別法式のものがあります。特別方式遺言とは、生命に危険が及んでいるときなどの特別の場合に利用するものですから、通常時に利用するのは普通方式遺言です。

自筆証書遺言は、そうした普通方式遺言の1種です。自宅などで、自分一人で作成できますし、費用もかからないため、多くの人が気軽に自筆証書遺言を作成して、自宅に保管しています。自筆証書遺言も、当然有効な遺言書ですから、きちんと作成して保管しておけば、相続トラブルを防止する効果があります。

自筆証書遺言は、無効になりやすい

しかし、自筆証書遺言は、非常に無効になりやすい点が問題です。

遺言の作成方法は、法律によって厳格に定められています。遺言書を作成するとき、その要式に正確に従わないと、無効になってしまうのです。そこで、自分では有効な遺言書を作成したつもりでも、少し不備があると無効になり、相続人たちは遺産分割協議をしなければならなくなります。すると、結局遺産争いが発生してしまうおそれがあります。

自筆証書遺言を作成するならば、無効にならないように注意しなければなりません。

無効にならない、自筆証書遺言作成方法

以下では、無効にならないための自筆証書遺言作成方法を説明します。

使用する紙とペンについて

自筆証書遺言を作成するとき、使用する紙やペンについて、特に指定はありません。便せんでもレポート用紙でも、ノートをちぎったものでも、どのようなものでもかまいません。使用するペンについても指定はありません。毛筆でもボールペンでもサインペンでもかまいません。ただし、容易に変造ができる鉛筆は避けましょう。

全文自筆で作成する

自筆証書遺言を作成するときには、全文自筆で作成することが絶対条件です。遺言者本人が自筆する必要があるため、誰かに代筆を依頼することはできません。パソコンなどで文書作成することも認められません。

また、遺言書には、本文と遺産目録があります。遺産が多数ある場合など、遺産目録の作成は非常に大変なので、エクセルなどで作成したいと考えるかもしれません。しかし、遺産目録を自筆で書かなかった場合に遺言書を無効とした判例もあります。

そこで、遺産目録部分を含めて、遺言書のすべての部分を、自筆で記載していきましょう。

日付を入れる

自筆証書遺言が有効になるためには、日付を入れることが必須です。日付が正確であれば、西暦でも和暦でもかまいません。必ず、「〇年〇月〇日」まで正確に記載しましょう。たとえば、「〇年〇月」のみとして、日を入れないと無効になってしまいます。「〇月吉日」などと書いてもいけません。

また、日付についても自筆で記載する必要があります。日付押印用のスタンプ印などを使うと、それだけで遺言書全体が無効になってしまうので、注意が必要です。

このように、遺言書で日付が重視されるのは、遺言書の書き換えに対応するためです。複数の遺言書がある場合には、常に新しい遺言書の内容が優先されます。どちらを優先するか決定するために日付が明らかになっている必要があるので、遺言書には日付を入れる必要があります。

署名押印を忘れない

自筆証書遺言を作成するためには、それなりに労力がかかるものです。タイトルを書き、誰にどのような遺産を相続させるのかを順番に書いていき、遺産目録まで作成すると、「ようやくできた」という達成感を感じます。しかしこのとき、署名押印を忘れてしまう例が多いので、注意が必要です。いかに他の部分が完璧でも、署名押印が抜けていたら、遺言書は無効です。

署名押印を最後にすると忘れてしまいそうな場合には、先に(本文を書き始めるより前に)日付の記入と署名押印をしておくと良いでしょう。

加除訂正方法について

自筆で遺言書を作成していると、どうしても間違いが発生してしまうものです。自筆証書遺言の場合、加除訂正方法についても法律で厳格に定められているので、注意が必要です。

削除する場合には、削除する部分に二重線を引いて、押印し、その横に「〇文字削除」などと記載して署名します。

加筆するときには、吹き出しで文字を挿入して押印し、その横に「〇文字加入」などと記載して署名します。

訂正するときには、削除部分に二重線を引き、加筆する文書を挿入して押印し、その横に「〇文字削除・〇文字加入」と書いて署名します。

この要式を守らないと、基本的に遺言書が無効になります。加除訂正方法に自信がない場合には、遺言書全体を書き直した方が確実です。

遺産の特定と相続人の特定

自筆証書遺言を作成するときには、本文の書き方にも注意が必要です。誰に、どの遺産を相続させるのか「遺産の特定」と「相続人(受遺者)の特定」を正確に行う必要があります。

たとえば、不動産を相続させる場合には、不動産の全部事項証明書の記載を引き写します。「自宅不動産」などと書いても、効果が発生しないおそれがあります。預貯金については、金融機関名と預金の種類、口座番号で特定しましょう。相続人や受遺者を指定するときには、氏名を正確に記載する必要があります。

たとえば、「妻 甲野花子に、以下の預貯金を相続させる。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇」

などとして、順番に相続方法を指定していきましょう。

余計なことを書かない

自筆証書遺言では、自由に文章を書くことができるので、相続人らに宛てた言葉などを書き込みたくなってしまうことがあります。しかし、遺産相続以外のことを書き込んでいくと、何が言いたいのか、どの部分が重要なのかがわかりにくくなり、肝心の相続に関する部分の意味を判読しにくくなることもあります。

遺言書内には、できるだけ遺産相続以外の余計なことを書かず、相続分の指定と遺贈に関する記載をしていきましょう。相続人らに何か言葉を残したいのであれば、別途手紙を書いて遺言書と一緒に保管しておくと良いです。

自筆証書遺言の管理方法

自筆証書遺言を作成したら、管理方法も重要です。自筆証書遺言は、自分で管理しなければならないので、紛失すると、書いた意味がなくなるためです。また、死後に発見されなければ、遺言書はないものとして扱われて、相続人らが遺産分割協議を行うことになります。

そこで、自筆証書遺言を作成したら、自室の机の引き出しなどに入れて、大切に保管しましょう。金庫などがあれば、入れておくのも良いでしょう。

不安があるなら、公正証書遺言を作成しよう!

以上のように、自筆証書遺言を作成するときには、無効にならないためにいくつかのポイントを押さえておく必要があります。ただ、気をつけていても、遺言が無効になってしまうことはあります。また、自宅に遺言書を保管していると、同居している相続人が発見して、破棄隠匿してしまうおそれもあります。自筆証書遺言には不確かな面があって、不安要素が大きいことは事実です。

こうした問題をクリアするためには、公正証書遺言を作成することをお勧めします。公正証書遺言なら、公証人が職務として作成するので、要式違反によって無効になることはありませんし、公証役場で原本が保管されるので、紛失や破棄隠匿のおそれもないためです。

遺言書の作成は、弁護士法人YMPまでお任せ下さい

自筆証書遺言や公正証書遺言の作成は、弁護士に依頼するとより確実です。弁護士にご相談いただきましたら、自筆証書遺言が無効にならないように正しい作成方法をアドバイスいたしますし、できあがった遺言書を弁護士が保管することも可能です。このことにより、遺言書の紛失や相続人による破棄隠匿などの問題も避けられます。弁護士は、公正証書遺言作成のサポートも行っています。

これから遺言書を作成して、相続トラブルを防止したいとお考えのみなさまは、是非とも一度、弁護士法人YMPまでご相談ください。