お電話でのご相談

0120-636-613
平日9:00~18:00(定休日:土日祝)

気になること、お困りごとは何ですか?

個人再生をすると、どこまで借金を減額できる?

  • 債務整理

公開日:

個人再生は、債務整理手続きの中でも借金の減額率が高い方法であることが知られています。ただ、具体的にどこまで減額できるのかについては、知識があいまいな方が多いです。

最適な債務整理の方法を選択して、借金をきっちり整理するためには、個人再生の減額率について正確に理解しておく必要があります。

以下では、個人再生の減額率について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

個人再生の最低弁済額

最低弁済額とは

個人再生の減額率については「最低弁済額」が1つの基準となります。最低弁済額とは、どのようなケースにおいても最低限支払わなければならない金額です。個人再生の最低弁済額は、借金の総額によって異なり、具体的には以下の通りとなります。

  • 借金額が100万円未満…借金がそのまま残る(減額されない)
  • 借金額が100万円以上500万円未満…100万円まで減額
  • 借金額が500万円以上1500万円未満…5分の1まで減額
  • 借金額が1500万円以上3000万円未満…300万円まで減額
  • 借金額が3000万円以上5000万円以下…10分の1まで減額

上記のように、個人再生の借金率は、借金総額によってかなり異なります。
なお、上記の「借金額」というのは、個人再生の手続きによって確定した最終的な借金額のことです。申立当初に債権者が届け出ている額は、暫定的なものなので、それがそのまま基準になるわけではありません。

住宅資金特別条項を利用する場合

また、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する場合にも、借金額のとらえ方に注意が必要です。住宅資金特別条項を使う場合、住宅ローンの金額は、上記の「借金額」に含めないで計算をします。この場合、住宅ローンは減額の対象にならないからです。

具体例

たとえば、住宅ローンが3000万円、他の借金が1700万円あるケースを考えてみましょう。

この場合、住宅資金特別条項を利用すると、減額の対象になるのは1700万円のみです。そこで、5000万円以下という要件を満たすので、個人再生することができて、借金は300万円にまで減額されます(ただし、住宅ローンの3000万円はそのまま残ります)。

これに対し、住宅資金特別条項を利用しない場合には、減額の対象になるのは4700万円です。そこで、借金は470万円にまで減額されることになります。他には住宅ローンも残りません。ただし、家を失うことになってしまいます。

住宅資金特別条項を利用するかしないかで、借金の減額率がまったく異なってくるので、注意が必要です。

個人再生の精算価値保障原則

精算価値保障原則とは

個人再生の借金は、必ずしも最低弁済額まで減額されるとは限りません。債務者に財産があると、その金額までは支払をしなければならないという原則があるからです。その原則のことを「精算価値保障原則」と言います。

もし、精算価値保障原則がないと、債務者が多額の財産を持っているにもかかわらず、それを処分せずに借金だけを大きく減額できることになってしまいます。このようなムシの良いことでは、債権者の理解を得ることが難しいです。また、債務者が破産すると、債務者の財産は基本的にすべて現金化されて債権者に配当されます。もし、債務者が財産を持ったまま個人再生で借金が減額されるなら、債権者にとっては、破産してもらった方が良い、ということになってしまいます。

そこで、破産したときとの兼ね合いなども考慮して、債務者の財産をすべて清算したときの財産評価額以上は、最低限支払わなければならないとしたのが、精算価値保障原則です。

具体例

たとえば借金が1500万円ある人の場合、財産が200万円しかなかったら、借金の返済額は300万円にまで減額してもらうことが可能です。

これに対し、財産が700万円あったら、借金は700万円にまでしか減りません。また、財産が1500万円以上あると、個人再生をしてもまったく借金を減額してもらうことができなくなってしまいます。

このように、個人再生では、多額の財産があると、減額率が低くなって不利になります。

財産隠しをしてはいけない

精算価値保障原則があるため、個人再生をするときに財産隠しをしようとする人がいます。しかし、個人再生時に財産隠しをすると、個人再生の手続き自体に失敗してしまう可能性があるので、絶対に辞めましょう。

個人再生申立前に財産隠しが発覚すると、手続き開始決定が出ずに棄却されてしまうおそれがありますし、手続きの途中で発覚したら、個人再生の手続きが廃止されてしまったり再生計画を認可してもらえなかったりします。最後まで知られずに再生計画認可決定が下りたとしても、その後発覚したら、認可決定が取り消されるので、個人再生をした意味がなくなります。

個人再生では、財財産隠しが非常に厳しく禁止されています。

給与所得者等再生の「可処分所得2年分」の要件

小規模個人再生と給与所得者等再生

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2種類の手続きがあります。個人再生の借金減額率は、この2種類の手続きによっても異なります。

小規模個人再生とは、原則的な個人再生の方法です。サラリーマンや公務員などの安定した給与所得者だけではなく、不安定な自営業者やパート・アルバイトの人などであっても利用することができます。

これに対し、給与所得者等再生とは、サラリーマンや公務員などの安定した収入がある人のみが利用できる個人再生の手続きです。

小規模個人再生の場合

小規模個人再生の場合には、上記で紹介したように、以下の2つの要件のうち、どちらか高い方の金額まで借金が減額されることとなります。

  • 最低弁済額
  • 精算価値保障原則

給与所得者等再生の場合

これに対し、給与所得者等再生の場合には、上記の2つに足して、「可処分所得の2年分以上」という要件が追加されます。

可処分所得とは

可処分所得というのは、収入金額から税金や健康保険料や最低限の生活費を引いたものです。居住している地域や世帯人数、扶養家族の数などによって具体的な金額が異なります。

給与所得者等再生では、以下の3つの中で、もっとも高額な金額まで、借金が減額されることになります。

  • 最低弁済額
  • 精算価値保障原則
  • 可処分所得の2年分

ただ、一般的に、可処分所得の2年分は、「最低弁済額」や「財産評価額」よりも高くなりやすいです。そこで、給与所得者等再生を利用すると、小規模個人再生のケースよりも、多額の借金が残ってしまうことが多いです。

そこで、サラリーマンや公務員などの給与所得者であっても、多くのケースでは、給与所得者等再生を選択せずに、小規模個人再生を利用することの方が多く見られます。

給与所得者等再生を利用すべきケース

それでは、給与所得者等再生を利用すべきケースはどういった場合なのでしょうか?

それは、多くの債権者が個人再生に反対している場合や、大口の債権者が個人再生に反対しているケースです。

個人再生では、再生計画案を認可してもらうことによって借金が減額されます。そして、小規模個人再生の場合、過半数の人数や債権額の債権者が再生計画案に反対していると、再生計画案が認可されずに個人再生が廃止で終わってしまいます。

これに対し、給与所得者等再生の場合には、債権者の意見とは無関係に、再生計画が認可されます。給与所得者等再生では、「可処分所得の2年分」という厳しい要件を満たしている上、債務者が安定収入を得ているので計画が遂行されやすいことから、債権者の同意を不要としたのです。そこで、債権者が反対していても、給与所得者等再生ならば、借金を減額できます。

なお、1回目に小規模個人再生をしてみたけれども、債権者に反対されて失敗した場合、2度目は給与所得者等再生をしてみる、ということも可能です。特に期間を空ける必要もなく、失敗してからすぐに次の給与所得者等再生の申立ができます。借金をできるだけ減額したいけれども、過半数の債権者が反対する可能性が少しだけある、というケースでは、まずは小規模個人再生を試してみるのも1つの方法です。

個人再生は、弁護士法人YMPにお任せ下さい!

個人再生をすると、どういったケースであっても借金返済額を一定以上減額してもらうことができます。ただし、具体的な減額率は、ケースによって異なります。

弁護士法人YMPでは、弁護士が個人再生を非常に得意としており、これまで多くの困難な件でも借金問題を解決してきました。なるべく大きく借金を減額したい方、どのような債務整理方法が向いているか判断できない方など、どのような場合でも、まずはお気軽にご相談ください。