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債務整理をするときの「弁護士」と「司法書士」の違いを解説!

  • 債務整理

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借金の返済ができない場合には、債務整理で解決できます。

債務整理を依頼することができる専門家には「弁護士」と「司法書士」がありますが、この2種類の専門家の違いは、一般にきちんと理解されていないことが多いです。実際には、弁護士と司法書士には大きな違いがあり、債務整理を効果的に行っていくためには、弁護士に依頼することをお勧めします。

以下では、債務整理をするときの「弁護士」と「司法書士」の違いについて、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

弁護士とは

弁護士は、どのような法律問題でも取り扱うことができる、法律のエキスパートです。各種の法律文書作成、示談交渉の代理、裁判所での調停や訴訟の代理などができますし、取り扱っている法律問題の幅も広いです。債務整理はもちろんのこと、交通事故や離婚、遺産相続や労働問題、医療問題、企業法務など、法律が関連することであれば、どのような分野でも取扱います。

債務整理事件に取り組んできた歴史も長く、これまで試行錯誤を続け、裁判を起こして判例を積み重ね、裁判所との協議を重ねながら、今の債務整理の方法を確立したのも、弁護士です。

司法書士とは

司法書士は、もともと登記の専門家です。不動産の所有権移転や抵当権設定・抹消の登記などを得意としています。他にも、商業登記や定款の作成、遺言書作成や遺産相続業務などに力を入れている司法書士も多いです。

司法書士は、もともと債務整理を取り扱っていませんでしたが、平成14年、司法書士法改正により、司法書士にも、弁護士業務の一部が解禁されました。そのときに、債務整理業務も取り扱えるようになったのです。

ただし、次の項目で詳しく説明しますが、司法書士に、すべての債務整理に関する権限が認められるわけではありません。また、司法書士の場合、すべての司法書士が債務整理を取り扱っているわけでもありません。司法書士の中でも、必要な研修を受けて「認定」を受けた「認定司法書士」のみが、債務整理を行うことができます。認定司法書士には、認定番号という特別の番号がついています。これに対し、認定司法書士ではない通常の司法書士は、債務整理の代理を行うことはできません。

債務整理における、弁護士と司法書士の違い

以下では、各種の債務整理手続きにおける、弁護士と司法書士の違いを、順番に確認していきましょう。

任意整理の場合

任意整理における、弁護士と司法書士の大きな違いは、限度額の有無です。

弁護士の場合、取り扱える金額に限度がありません。そこで、どんなに多額の債務を負った債務者のケースでも、弁護士であれば、解決することができます。

これに対し、司法書士の場合には、140万円以下の案件しか取り扱うことができません。この140万円の考え方については、弁護士側と司法書士側において対立があったのですが、今は、判例が出て整理されています。すなわち、1社について、140万円を超える借り入れがある場合には、司法書士はその案件を取り扱うことができない、と考えられています(最高裁平成28年6月27日)。

そこで、1社から多額の借り入れがある場合には、司法書士に依頼しても、任意整理で解決ができないことになります。

過払金請求の場合

限度額の違い

過払金請求の場合にも、大きな違いは限度額の違いです。

弁護士の場合には限度額はありませんが、司法書士の場合には、140万円を超える過払金の請求ができません。そこで、司法書士に過払金請求を依頼すると、利息制限法引き直し計算をした結果、140万円を超える過払金が発生していることがわかったら、引き続いて司法書士に過払金請求を依頼することができないのです。その場合、弁護士を探して依頼し直さないといけないので、余分な手間も費用もかかってしまいます。

始めから弁護士に依頼していたら、このような問題は発生しません。

代理できる裁判所の違い

弁護士と司法書士では、代理できる裁判所の範囲が異なります。

弁護士は、すべての裁判所において代理権を持っています。そこで、簡易裁判所だけではなく、地方裁判所や高等裁判所、最高裁判所に事件が移っても、対応することが可能となります。これに対し、司法書士は、簡易裁判所における代理権しかありません。

過払金請求をするときには、相手と和解交渉ができないので、訴訟が必要になることも多いです。その場合、140万円以下の請求なら、1審は簡易裁判所になりますが、どちらかが控訴すると、地方裁判所に移ります。司法書士に依頼した場合、司法書士には地方裁判所における代理権がないので、控訴審は、債務者本人が対応しなければなりません。裁判に1人で対応することが難しければ、あらためて弁護士を探して依頼する必要があります。

すると、時間も費用も無駄になるので、やはり始めから弁護士に依頼している方が有利です。

個人再生の場合

代理権の範囲

個人再生の場合には、弁護士と司法書士の代理権の範囲が異なります。

弁護士の場合には、全面的な代理権があるので、被害者の「代理人」として、個人再生の申立をすることができます。

これに対し、司法書士の代理権の範囲は「書類作成」のみです。つまり、司法書士が代理で申立用の書類を作成し、申立自体は本人が行う、という建前になります。裁判所においても、司法書士に依頼した場合には、「本人申立事案」の扱いになります。

予納金の金額

このことで、予納金の取扱いが変わってくる可能性があります。

個人再生委員が選任される裁判所の場合、個人再生委員の予納金が必要です。たとえば、東京地方裁判所では、弁護士に依頼したときには、予納金が15万円となりますが、司法書士に依頼すると、「本人申立」扱いとなるので、予納金が25万円となります。本人申立の場合、弁護士申立の事案よりも個人再生委員の業務が増えることが予想されるからです。

このように、司法書士に依頼すると、弁護士に依頼するよりも、費用が高額になる可能性が高まります。

自己破産の場合

代理権の範囲

自己破産の場合にも、個人再生のケースと同様、代理権の範囲が異なります。

弁護士の場合には、全面的な代理権が認められますが、司法書士の場合には、書類作成の代理権しか認められません。

予納金の金額

自己破産の場合にも、個人再生のケースと同様、予納金の金額が変わってくる可能性があります。

自己破産で管財事件となった場合には、管財予納金が必要となります。具体的な金額は、各地の裁判所によっても運用状況が異なりますが、多くの裁判所では、弁護士申立の場合、金額が相当安くなる取扱いをしています。たとえば、東京地方裁判所の場合、弁護士申立なら予納金は20万円ですが、本人申立の場合には50万円です。

司法書士に依頼すると、管財事件になったときに、予納金が30万円も高くなってしまう可能性があるということです。

裁判所での手続きでの対応

自己破産をするときには、裁判所でいろいろな手続きが行われることがあります。たとえば、破産手続き開始決定前に破産審尋(裁判官が債務者に質問をする手続き)が行われることがありますし、同時廃止事件でも、免責審尋審尋(裁判官が債務者に質問をする手続き)が行われることがあります。管財事件になると、月1回程度、債権者集会が開催されます。

これらの機会には、債務者も裁判所に行かなければなりませんし裁判官から質問を受けることもあります。そのようなとき、代理権を持った弁護士なら、裁判所に同行して、債務者と並んで各種の手続きに参加することができます。裁判官から質問をされて債務者が答えに詰まってしまったとき、弁護士が横から助け船を出すこともできます。これに対し、司法書士には代理権がないので、債務者とともに審尋や集会に参加することができません。室外や後ろの場所で待っていることしかできません。

弁護士が就いている方が、債務者としては、圧倒的に安心感が高いです。

債務整理を弁護士に依頼するか、司法書士に依頼するか

結局、債務整理を弁護士に依頼するのと司法書士に依頼するのと、どちらにメリットがあるのでしょうか?

先にいろいろと説明をしてきましたが、任意整理や過払金請求をするとき、弁護士には限度額がありませんが、司法書士には限度額があります。個人再生や自己破産をするときにも、弁護士に依頼すると予納金が安くなりますし、手続きにおいても安心感が高いです。

また、世間では弁護士費用が司法書士費用より高いと思われていることがありますが、実際にはそうとも言えず、むしろ司法書士事務所の方が高額になることもあります。

このようなことを考えると、債務整理を依頼するなら、圧倒的に弁護士の方がメリットが大きいと言えます。

弁護士法人YMPでは、債務整理に熱心に取り組んでおり、今まで多くの方の借金問題を解決に導いてきました。どのような方の借金問題も、解決する道をお示ししますので、お困りの場合には、お早めにご相談下さい。