不動産を相続すると、遺産相続トラブルに!効果的に避ける方法を弁護士が解説!
- 相続問題
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遺産の中に不動産が含まれていると、相続トラブルが発生することが非常に多いです。
いったん相続争いが起こると、死後数年が経過しても、裁判所で調停や審判が続いてしまうケースもあり、相続人にとっては大きな負担となってしまいます。以下では、不動産があるとトラブルになりやすい理由と、効果的に遺産トラブルを避ける方法を、弁護士法人YMPの弁護士が紹介します。
このページの目次
遺産に不動産があって相続トラブルになった例
まずは、これまで取り扱った事例で、不動産が原因で相続トラブルになった事例をご紹介します。
Aさんは、3人兄弟の長男です。長年父親と同居してきました。弟と妹は、家を出て独立しています。父が死亡して相続することになりました。Aさんとしては、長年実家に住み続けてきたので、当然家は自分がもらえると考えておられたのですが、弟や妹は「法定相続分に従って、3分の1ずつにすべき」と言っています。弟は「不動産は兄さんがもらっていいから、代償金を支払ってほしい」と主張して、1500万円の支払いを求めてきました。妹は「実家は売ってみんなで3分の1ずつ現金で分けよう」と言っています。
このように3人が違うことを言うので、まとまりがつかず、遺産分割は調停に持ち越されました。調停でも解決が難しいので、遺産分割審判となり、解決までに3年かかってしまいました。結局、Aさんが弟と妹に代償金を支払って、家を取得することで解決したのですが、Aさんたち兄弟は遺産争いで激しくいがみ合ったため、絶縁状態となってしまいました。
不動産があると、相続トラブルになりやすい理由
上記はあくまで一例ですが、不動産が遺産に含まれていると、相続トラブルが非常に起こりやすいことは確かです。それは、以下のような理由によります。
現金のように、簡単に分けられない
まず、不動産は、分割が難しいことがあります。現金や預貯金であれば、1円単位で割合的に分けることができますが、不動産の場合、そうはいきません。誰が相続をするのかということで、相続人間の意見が合わないことが多いです。
価値が高く、相続人間で不公平になりやすい
また、不動産は、価値が高いことが多いです。そこで、一人が相続すると、他の相続人の取得分が大きく減ってしまい、不公平となります。このことも、相続トラブルにつながります。
遺産分割の方法にいくつかの種類がある
不動産の遺産分割方法には、いろいろな手法があります。現物で1人の相続人が取得する現物分割、不動産を取得した相続人が他の相続人に代償金を支払う代償分割、不動産を売却して現金で分ける換価分割の3種類があります。これ以外に、分割をせず、とりあえず共有にしておく方法もあります。
そこで、相続人の間で、どの方法によって不動産を分けるかという意見が一致せず、トラブルになりやすいです。
不動産の評価方法が一律ではない
不動産の場合、評価方法に数種類があることも問題を複雑にしてしまいます。不動産の価格評価方法には、実勢価格(実際に不動産が市場で売買されている価格)以外に、相続税路線価や、固定資産税路線価、公示地価という価格評価方法があります。
また、実勢価格については、評価を依頼する業者によって大きく異なることも、問題です。
どのような評価をするかに寄り、同じ不動産でも価額が相当異なってくるので、相続人がそれぞれ異なる価格を主張して、収集がつかなくなります。
以上のように、不動産を相続するときには、相続トラブルの要素が非常に起こりやすいのです。ご自身の資産に不動産があるときには、注意が必要です。
不動産の相続トラブルを予防する方法
不動産の相続トラブルを効果的に予防するには、どうしたら良いのでしょうか?以下で、考えられる方策を紹介します。
遺言をする
1つ目は、遺言をすることです。遺言によって不動産の相続方法を指定しておけば、法定相続人の法定相続分よりもその内容が優先されます。相続人たちがあらためて遺産分割協議をする必要はありません。そこで、遺産分割方法について争いが発生することもなくなります。
ただし、遺言をするときには、遺留分に注意が必要です。法定相続人の遺留分を侵害すると、死後に相続人が遺留分を請求することにより(遺留分減殺請求)、かえってトラブルになってしまうからです。遺留分を持つ相続人がいる場合には、そうした相続人にも預貯金や他の資産を残し、遺留分侵害をしないように配慮しておくべきです。
- 遺言するときのポイント
- 遺留分に注意する
生前贈与をする
不動産の相続トラブルを避ける方法としては、生前贈与も有効です。生きている間に不動産を贈与してしまったら、相続の対象から外れるので、遺産相続トラブルを避けることができます。
ただし、法定相続人に生前贈与をすると「特別受益」が成立します。特別受益が成立すると、他の相続人が受益者の相続分を減らすように要求することができます。このことを、特別受益の持ち戻しと言います。そして、特別受益が原因で相続トラブルが起こることも多いので、注意が必要です。
トラブルを避けるには、遺言書内で「特別受益の持ち戻し免除」をしておくと良いです。遺言者が「〇〇の生前贈与については特別受益の持ち戻しを免除する」と記載しておけば、特別受益の持ち戻しができなくなるので、他の相続人が文句を言うことができなくなり、相続トラブルを防止することができます。
生前贈与するときのポイント 遺言書で、特別受益の持ち戻し免除をしておく
生前に売却する
不動産を所有している場合、生前に売却してしまうのも1つの方法です。売却してしまったら、現金に変わるので、相続人らが遺産分割協議によって分ける必要がなくなります。また、現金資産が入ってくることにより、相続税の支払い原資にもなります。
ただ、不動産と現金を比べると、不動産の方が圧倒的に相続税の節税効果が高いです。不動産の相続税評価は実勢価格の8割程度になりますし、賃貸に出していると、さらに減額されます。不動産が宅地なら、小規模宅地の特例という相続税の減額制度も利用できます。また、自分が居住している不動産を売ることは、現実的ではないでしょう。
そこで、不動産を売却すべき場合というのは、ケースが限定されてきます。以下のような場合に検討すると良いでしょう。
- 投資用の物件
- 自分が施設に入るための頭金にするケース
- 換金の難しい不動産がたくさんあって、相続税の支払い原資が必要なケース
相続トラブルが起こってしまった場合の対処方法
実際に相続トラブルが起こってしまったら、以下のように対処しましょう。
法的な決まりを理解する
まずは、法律的な考え方を理解することが重要です。自分に認められる権利の内容がわかっていたら、的確な主張をすることができます。もし、法的なルールを知らないと、相手に譲りすぎてしまって損をするかもしれませんし、反対に、無茶を言ってさらなるトラブルを招いてしまうおそれもあります。
そこで、不動産にはどのような分け方があるのか、自分にはどのような権利があって、どういった請求をすることができるのかなど、基本的な知識を押さえておきましょう。
早めに弁護士に相談する
遺産相続トラブルを早めに解決するためには、弁護士に相談することが役立ちます。
弁護士に相談すると、それぞれの当事者に認められる権利の範囲が明らかになりますし、とりうる手段を提示してもらえるので、最適な対処方法を検討しやすいです。また、弁護士が代理人としてトラブルの相手と交渉をすると、法的な観点から相手を説得できるので、相手も受け入れやすく、合意が成立しやすいです。遺産分割調停や審判になったときにも、弁護士のサポートがあると、有利に進めることができます。
弁護士に対応を依頼することで、困難な遺産トラブルでも、スムーズに解決することが可能となります。
不動産にまつわる相続トラブルは、弁護士法人YMPにお任せ下さい!
遺産の中に不動産があるケースは、非常に多いです。
弁護士法人YMPでは、相続トラブルの予防と解決を非常に重視しています。いったんトラブルが起こると、相続人は非常に疲弊しますし、相続人間の仲も悪化してしまいます。そういった不利益を最小限に抑えるため、これまで培ってきた知識と経験、ノウハウを駆使して、最大限のサポートをいたします。
相続トラブルを予防されたい方、起こってしまった相続トラブルを解決されたい方は、是非とも一度、ご相談下さい。