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売掛金の時効はいつまで?種類ごとに解説!

  • 債権回収

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売掛金があるときには、早めに回収する必要があります。放置していると、時効が完成して、取り立てができなくなってしまうからです。
売掛金にはいろいろな種類がありますが、種類によって、時効の期間が異なります。

今回は、売掛金の時効について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

売掛金の時効が完成すると、取り立てができなくなる

売掛金には「時効」があります。この場合の時効は、消滅時効です。売掛金がある、ということは、売掛金請求権という権利を持っているということです。そして、長期間権利を行使していないと、権利自体が消滅してしまいます。「権利の上に眠るものは、守られない」という考え方があるためです。

売掛金の時効が完成したら、権利を行使して相手に売掛金の請求をしたり取り立てをしたりすることができなくなります。そこで、売掛金があるなら、時効完成前に、早めに取り立てを行う必要があります。

売掛金の時効期間

それでは、売掛金は、どのくらいの期間が経過すると、時効が完成するのでしょうか?

売掛金の時効期間の表

売掛金にはいくつか種類があり、種類ごとに時効期間が異なります。

時効の期間 時効債務 根拠条文
1年 宿泊料金
運送費用
飲食代金
民法174条
2年 月謝、教材費用
製造業、卸売業、小売業の売掛金
弁護士報酬
民法173条
民法172条
3年 診療費
建築代金/設計費
自動車修理費
工事代金
民法170条
5年 上記以外の売掛金 商法522条

売掛金の時効期間について

売掛金の一般的な時効期間は5年です。売掛金は、商事債権となるからです。商事債権というのは、商人が取引をする場合の債権や、商事性を持つ取引にもとづく債権です。
商人というのは、反復継続して営利目的の取引をする人や法人のことです。

一般的に、売掛金を持っている人や会社は、営利目的を持って営業行為をしているものですから、商人となります。

一般的な民事債権の場合には、時効期間が10年とされていますが、商事債権の場合には、権利者はプロですし、取引行為であるという性質上、迅速さが求められるので、時効期間が5年に短縮されているのです。

さらに、上記のように、債権の種類によってはさらに時効期間が短縮されています。たとえば、宿泊料金や運送料、飲食料金の場合には、1年しか請求期間がないので、早く回収のために動かないと、すぐに時効が完成してしまうこととなります。

売掛金の時効の起算点

売掛金の時効の起算点とは

売掛金の時効を理解するためには「起算点」についても知っておくことが重要です。時効の起算点とは、「時効期間をいつから計算するか」ということです。起算点を正確に理解しておかないと、時効がいつ完成するのか、明らかにすることができません。

時効の起算点は「債権を請求できる状態になったとき」または「最終弁済時」です。一度も支払われていない債権の場合には、「債権を請求できる状態になったとき」ですから、支払期限が到来したときとなります。1回以上支払いが行われた債権の場合には、最終的に支払いが行われたときです。

初日不算入の原則について

ただし、時効の起算点を決定するとき「初日不算入の原則」があるので、注意が必要です。初日不算入の原則とは、期間の計算をするときに、初日を計算に入れないという決まりです(民法140条)。そこで、売掛金の時効を計算するときにも、初日は計算から省きます。

具体例

たとえば平成30年12月31日が支払期限となっている売掛金の場合、平成30年12月31日は計算に入れず、平成31年1月1日から時効期間を計算します。もし、5年で時効が完成する一般的な売掛金であれば、その後5年が経過した平成35年12月31日の経過をもって、時効が完成することとなります。

時効を完成させない方法

売掛金があるときに、放置していると、時効が完成して請求ができなくなってしまいます。このようなことを防ぐには「時効の中断」という措置をとる必要があります。時効の中断とは、時効の進行を途中で止めることです。時効が中断すると、時効期間が当初に巻き戻り、中断時から新たに必要な時効期間が経過しないと、時効が完成しなくなります。

たとえば、一般的な売掛金で、支払期限が到来してから4年が経過したときに時効を中断させると、その時点から新たに5年が経過しないと、売掛金の時効は完成しません。

このようにして、時効の中断を繰り返していると、永遠に時効を完成させないことも可能となります。

時効の中断事由

時効を中断させるには、具体的に何をしたら良いのでしょうか?

民法が定める時効中断事由には、以下のようなものがあります。

  • 債務承認
  • 裁判上の請求
  • 仮差押、仮処分、差押え

債務承認

債務承認とは、債務者が、債務があると認めることです。承認の方法は問いません。口頭で「債務を負っています」「支払います」と言っても一応有効です。

ただ、口頭で債務承認をさせても、何の証拠もありません。後日「そのようなことは言っていません」と言われてしまったら、反論することができなくなってしまいます。そこで、債務承認させるときには、必ず書面で承認させる必要があります。

また、債務の一部を支払わせることによっても、債務承認が成立します。たとえば、100万円の売掛金がある場合には、1万円でも支払いをさせたら、その時点で時効が中断します。

裁判上の請求

時効中断事由として「裁判上の請求」もあります。裁判上の請求とは、裁判を起こすことです。

訴訟

まずは、訴訟によって時効を中断させることができます。この場合の訴訟は、売掛金請求訴訟です。裁判によって判決がでた場合には、判決確定時から10年間、時効が延長されます。元々の時効期間が1年、2年、3年など短い場合であっても、判決が確定した場合には、時効期間は延長されます。

10年ごとに裁判を繰り返していると、永遠に売掛金の時効を完成させないことも可能です。

調停

調停によっても、時効を中断させることができます。調停を申し立てると、そのときに時効が中断するのです。ただし、不成立になった場合には、その後1ヶ月以内に訴訟を提起しなければなりません。不成立になってから何もしないで1ヶ月が経過すると、時効が完成してしまいます。

支払督促

支払督促によっても、時効が中断します。ただし、支払督促をしても、その後仮執行宣言にもとづく差押えをしないと、時効中断の効力は発生しません。支払い督促を申し立てただけでその後差押えをしないまま放置していると、時効が完成してしまうので、注意が必要です。

仮差押、仮処分、差押え

仮差押や仮処分、差押えを行うことによっても、時効を中断させることができます。仮差押、仮処分とは、裁判を起こす前に、仮に相手の資産を差し押さえたり、仮に権利を認めてもらったりする手続きのことです。たとえば、売掛金請求訴訟前に相手の預貯金や不動産等の資産を仮差し押さえしたら、その時点で時効が中断することになります。

内容証明郵便による催告

時効完成間近となって、急に訴訟等の手続をとることができない場合には、内容証明郵便によって督促することで、時効完成を先に延ばすことができます。この場合、内容証明郵便が債務者に送達されたときから6ヶ月間、時効が延長されるので、その間に訴訟を起こせば時効を確定的に中断することができます。

ただ、再度の催告は認められないので、6ヶ月以内に確実に裁判を起こさなければなりません。6ヶ月が経過すると、時効が完成してしまって請求はできなくなってしまうので、注意が必要です。

未回収の売掛金がある場合、弁護士法人YMPまでお任せ下さい

売掛金を回収するときには、とにかくスピーディーに動くことが重要です。弁護士法人YMPでは、各業種の企業様のサポートを積極的に行っており、売掛金回収の経験やノウハウも豊富です。未回収の売掛金がある場合には、是非とも一度、ご相談下さい。