未払家賃の請求方法と回収方法を弁護士が解説!
- 債権回収
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家賃滞納を諦めない!未払家賃を回収するには
建物などを賃貸している場合、賃借人が家賃を滞納することが多いです。そのような場合には、未払家賃を回収しなければなりません。未払家賃を効果的に回収するためには、どのようなことに注意したら良いのでしょうか?
今回は、未払家賃の請求方法と回収方法について、債権回収を得意とする弁護士法人YMPの弁護士が解説します。
未払家賃の回収の流れ
未払家賃を回収する際の基本的な流れは以下のとおりです。
- まずは口頭や書面で督促する
- 内容証明郵便で請求書を送る
- 未払賃料請求及び解除通知を送る
- 交渉をする
- 未払賃料請求及び明け渡し請求の訴訟をする
- 少額訴訟をする
- 強制執行をする
以下、ひとつずつ解説していきます。
1.まずは口頭や書面で督促する
建物や土地を賃貸していると、賃借人が賃料を滞納するリスクを完全に避けることは難しいものです。悪質な賃借人は、何ヶ月も賃料を支払わないまま、物件を占有しつづけることなどもあるので、注意が必要です。
未払家賃が発生したら、まずは賃借人に対し、すぐに督促の連絡をしましょう。電話をかけてみて、通じなかったら郵便で督促状を送ります。相手と話ができるまで、何度も連絡を入れるべきです。連絡がとれない場合、物件のある場所を訪ねていって、相手と直接会って話をしましょう。
手違いや何らかの事情で遅れている場合、こうした措置をとると、すぐに入金が行われることもありますし、期限を切って、それまでに支払を受けられることも多いです。滞納があったとき、当初の段階で放置すると、賃料不払いトラブルが長引きやすいので、延滞が発覚したらすぐに連絡を入れて、一度は相手と話をしておきましょう。
内容証明郵便で請求書を送る
相手に連絡をしても入金が行われないまま2ヶ月目に入ってしまったら、内容証明郵便によって、未払賃料の督促書を送りましょう。内容証明郵便とは、相手に送付したものと同じ内容の写しが、郵便局と差出人の手元に残るタイプの郵便です。内容証明郵便で請求書を送ると、そのときに相手に対し、確実に未払賃料の請求をしたことが明らかになり、後に相手から「請求をされていない」などといわれて誤魔化されることを避けることができます。
内容証明郵便には、滞納賃料の総額と、それについて期限を切り、入金を求めることを書き入れておきましょう。期限は1週間程度で良いです。また、入金が行われない場合には、契約の解除も検討せざるを得ないことも、書き入れておくと良いでしょう。
賃貸借契約に連帯保証人がついている場合には、連帯保証人にも同時に請求書を送っておくべきです。
未払賃料請求及び解除通知を送る
2ヶ月分の賃料を請求する内容証明郵便を送付しても、相手が支払に応じないことがあります。その場合には、契約の解除も検討しなければなりません。賃貸借契約は、賃貸人と賃借人との間の強い信頼関係によって支えられているものです。1回や2回の賃料不払いがあったからといって、簡単に解除することは認められていません。ただ、滞納が3ヶ月以上になると、賃借人による背信行為があると認められて、賃貸借契約の解除も認められやすくなります。半年も滞納した場合には、ほとんど確実に解除が認められるでしょう。
そこで、賃料不払いが3ヶ月を超えてきたら、未払賃料の請求と同時に、相手との賃貸借契約を解除する内容の通知を送ることが考えられます。もちろん、解除しないで未払賃料の請求のみを行うことも可能ですが、解除と同時に未払賃料の請求をする方が一般的です。賃料を長期滞納して、きちんと話合いにも応じない賃借人に、これ以上建物を貸していても、賃料が入金される可能性が低くなるからです。
今回、何とか賃料の支払いがあったとしても、また同じことが繰り返されると、そのたびに大変な手間とストレスがかかってしまいます。
交渉をする
相手に内容証明郵便を送付すると、相手が話し合いに応じてくることがあります。その場合には、未払賃料の支払方法について、交渉をする必要があります。相手が一括で支払いをすることができるなら、すぐにでも全額の入金を求めましょう。
一括では支払いができないということであれば、分割払いの方法を決定して、合意書を作成しましょう。分割払いの合意をするときには、連帯保証人などの担保を取っておくべきです。もともとの契約に連帯保証人がついていたら、その人も交えて話をしておきましょう。
未払賃料請求及び明け渡し請求の訴訟をする
内容証明郵便を利用しても相手が未払賃料の支払いに応じない場合には、多くのケースで訴訟をする必要があります。訴訟をするときには、未払賃料の支払いと、賃料不払いにもとづく建物の明け渡しを求めることができます。通常、賃料滞納期間が3ヶ月やそれ以上に及んでいたら、多くのケースで解除を認めてもらうことができます。また、未払賃料だけではなく、解除の効果が発生した後の賃料相当の損害金や利息を請求することも可能となります。
裁判では、事前に賃借人に対して送付していた内容証明郵便による請求書や解除通知を証拠として使うことができます。
少額訴訟をする
未払賃料が発生したとき、解除まではしなくてよい、というケースがあります。その場合には、少額訴訟を利用することも検討すると良いでしょう。少額訴訟とは、60万円以下の金銭請求をするときに利用できる、簡単な訴訟手続きのことです。少額訴訟では、一応法的な主張と立証が必要ですが、かなり簡略化されています。すべての証拠調べと判決までの手続きが1日で終了するので、非常に早くトラブルを終わらせることができる点もメリットです。また、裁判官や司法委員が間に入って話を進めてくれるので、当事者同士では感情的になって話ができないケースでも、和解によって支払を受けやすいです。
ただ、少額訴訟を利用できるのは、60万円までの金銭請求に限られますから、滞納賃料がそれ以上になっている場合には、少額訴訟で解決することはできません。また、解除にもとづいて明け渡しを求めたい場合にも、やはり少額訴訟では解決できません。
少額訴訟をするかどうか迷ったら、一度弁護士に相談されることをお勧めします。
強制執行をする
未払賃料の請求訴訟で、相手に対する支払い命令の判決が出たら、相手の資産を差し押さえることができます。差押えのことを、強制執行といいます。
差し押さえをするときには、債権者が債務者の資産や債権などの差押え対象を調べなければなりません。相手が会社員などの場合には、給料を差し押さえることもできます。
通常訴訟を利用したケースで、で相手に対し、明け渡し命令の判決がでている場合には、明け渡しの断行の強制執行をすることも可能です。明け渡しの断行とは、強制的に相手を建物から追い出し、荷物を出して明け渡させることです。これによって物件をさらの状態に戻すことができると、次の賃借人を探して賃貸借契約を締結し、賃料を得られるようになります。賃料未払が続いている今よりは状況がかなり改善されます。
未払賃料が発生しないようにする方法
いったん未払賃料が発生してしまうと、長期のトラブルになってしまうことが多いです。できれば、未払賃料が発生しないようにするのがベストです。
そのためには、まずは入居審査をしっかりと行い、審査基準を上げることです。きちんとした勤務先に勤めていて年収もそれなりにある人であれば、賃料を滞納することは少ないでしょうし、万一滞納したとしても、給料差押えなどによって簡単に取り立てることができます。また、当初の契約の際に連帯保証人を取っておくことも重要です。
賃料滞納でお困りの大家様、弁護士法人YMPまでご相談下さい
賃借人が賃料を滞納すると、大家としては経済的な損失のみならず精神的ストレスも大きいものです。効果的に賃料を回収するためには、専門家によるサポートが重要です。
弁護士法人YMPでも、不動産オーナー様への支援に力を入れておりますので、お困りの方は、是非ともお気軽にご相談下さい。