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支払督促とは?できることとできないことを、押さえておこう!

  • 債権回収

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売掛金や賃料など、支払を受けられないときには債権回収をしなければなりません。債権回収の方法としては、いろいろな手段がありますが、その中に「支払督促」という方法があります。支払督促が成功すると、手間無くスピーディに債権回収を図ることができるので、大きなメリットがあります。

今回は、支払督促を使ってできることとできないことについて、弁護士法人YMPの弁護士がご説明します。

支払督促とは

支払督促の概要

支払督促とは、債権者が裁判所に申立をすることにより、「仮執行宣言」を出してもらうことができる手続きです。仮執行宣言が発布されると、債権者は、それにもとづいて債務者の財産に対し、強制執行をすることができます。強制執行とは、差押えのことですから、支払督促が成功すると、債務者の預貯金や不動産、給料などを差し押さえて債権回収することができるのです。

支払督促を利用できるケース

支払督促を利用することができるのは、金銭債権の支払いを請求する場合のみです。たとえば、建物の明け渡しなどを求めるときには、支払督促を利用することができません。金銭債権であれば限度額がないので、いくらの未払金であっても、支払督促を使って請求し、取り立てを行うことができます。

支払督促で強制執行をすると、スピーディ

支払督促を利用しない場合には、債権者は、「債務名義」がないと、相手の資産を差し押さえることができません。債務名義とは、「判決書」「公正証書」「調停調書」「和解調書」「審判書」などの書類です。そこで、一般的には、債務者に通常の裁判を起こして判決をしてもらわないと、相手の資産を差し押さえることができません。通常の裁判には大変な手間もかかりますし、時間もかかってしまいます。

これに対し、支払督促を利用すると、比較的簡単な手続きで、短い期間で相手の資産を差し押さえることができるので、大きなメリットがあります。

支払督促の申立方法

支払督促をするときには、以下のような手順で申立をしましょう。

支払督促申立書や目録を作成する

まずは、支払督促申立書という書類を作成する必要があります。裁判所に書式があるので、利用すると良いでしょう。
http://www.courts.go.jp/nagoya/vcms_lf/2015tebiki.pdf

書き方はとても簡単で、当事者と請求金額などの基本的な事項を書くだけで足ります。

また、「請求の趣旨及び原因」という書類と、「当事者目録」という書類も作成する必要があります。請求の趣旨及び原因には、「請求の趣旨」と「請求の原因」を書きます。「請求の趣旨」というのは、相手に支払いを求める金額のことです。「請求の原因」は、そのお金の支払を相手に求める法的な理由です。

お金を貸した場合、売買代金を求める場合、請負代金を求める場合など、ケースによって理由が異なるので、裁判所の書式を参照しながら記載しましょう。

当事者目録には、債権者と債務者を正確に表示します。

必要な切手などを用意する

支払督促申立書などの必要書類ができたら、必要な切手や封筒などを用意しましょう。具体的には、以下のようなものが必要です。

  • 支払督促申立書
  • 請求の趣旨及び原因
  • 当事者目録
  • 長形3号の封筒(債務者数+1枚)
  • 必要な金額の収入印紙(裁判所に確認する)
  • 郵便切手数千円分(裁判所に確認する)
  • 官製ハガキ(債務者数と同じ枚数)
  • 申立人や相手方が法人の場合、資格証明書(商業登記簿謄本)

収入印紙の金額は、相手に支払いを求める金額によって異なります。請求金額が高額になればなるほど、印紙代も高くなります。

支払督促の流れ

以下では、支払督促の流れを確認しておきましょう。

申立

まずは、支払督促申立書やその他の必要書類を裁判所に提出します。このときの裁判所は、債務者の住所を管轄する簡易裁判所です。通常訴訟とは異なり、債権額が140万円を超える場合でも簡易裁判所となるので、注意が必要です。

支払督促の発布と送達

債権者による支払督促申立が行われると、裁判所がその内容を審査します。特に不備が無ければ、受理されて、裁判所が債務者に対し、「支払督促の通知」が行われます。支払督促の通知書には、「督促異議申立書」という書類が同封されています。支払督促通知を受けとった後、2週間以内に債務者が督促異議申立をした場合には、支払督促の効果は発生せず、手続きが通常訴訟に移行します。

仮執行宣言の申立

債務者に支払督促の通知が届いた後、2週間以内に異議の申し立てがなかったら、債権は裁判所に対し、「仮執行宣言の申立書」を提出できる状態になります。仮執行宣言の申立書というのは、裁判所に対し、「仮執行宣言を認めて下さい」ということを依頼するための申立書です。

裁判所は、仮執行宣言の申立書を受けとると、債権者に対し「仮執行宣言付き支払督促」という書類を交付してくれます。この「仮執行宣言付き支払督促」を使うと、相手の資産や債権などを差し押さえることができます。

仮執行宣言申立の期限

債務者が支払督促通知に対して2週間以内に異議を申し立てなかった場合には、早めに仮執行宣言申立をする必要があります。相手が支払督促通知を受けとった2週間後から30日以内に仮執行宣言の申立をしないと、支払督促の効果は失われて、仮執行宣言を受けることができなくなるからです。

支払督促のメリット

支払督促による債権回収には、以下のようなメリットがあります。

申立や手続きが簡単

まずは、申立や手続き進行が簡単なことが挙げられます。通常訴訟のように、厳密な主張や立証は不要ですし、相手から反論が行われることもありません。異議さえ申し立てられなかったら、相手の資産を差し押さえて債権回収することができます。

早期に債権回収できる

支払督促を利用すると、通常訴訟と比べて非常に早く債権回収することができます。スムーズに進んだ場合、1~2ヶ月程度で強制執行に取りかかることができるでしょう。スピーディに債権回収できるのは大きなメリットです。

費用が安い

支払督促は、通常裁判と比べて裁判所に納める収入印紙代が安くなっています。半額になるので、特に多額の支払いを求めるときには、影響が大きくなりやすいです。

支払督促のデメリット

支払督促には、以下のようなデメリットもあります。

相手が異議を申し立てると、通常裁判に移行する

もっとも大きなデメリットは、相手が異議を申し立てると通常裁判に移行してしまうことです。通常裁判になったら、数ヶ月以上に及んで裁判を進めていかなければなりません。

「支払督促なら、簡単だからやってみよう」という軽い気持ちで初めても、通常裁判になったら、綿密な法的主張や立証をしないと負けてしまいます。このようなことは、債権者にとっては、思わぬ大きな負担となることがあります。

また、どちらにしても裁判になるなら、始めから裁判をしていた方が時間も労力も節約できます。結局、支払督促のために費やした時間も手間が無駄になってしまうのです。

裁判管轄が、相手の住所地になってしまう

支払督促をして債務者から異議が出たために通常訴訟に移行した場合には、裁判所の管轄は、相手の住所地を管轄する簡易裁判所か地方裁判所となってしまいます。相手が遠方の場合には、こちらが何度も裁判所に通わないといけないので、大変な負担となります。

始めから訴訟を選択していたら、債権者の住所地や係争物のある住所地の裁判所を利用することができるケースも多いので、このように裁判所が強制的に決まってしまうことは、大きなデメリットとなります。

支払督促を検討されているなら、弁護士法人YMPまでご相談下さい

債務者が必要な支払をしないときには、さまざまな手法で債権回収することを検討しなければなりません。このとき、支払督促は1つの手段ですが、他にも検討すべき方法がいろいろあります。効果的に債権回収をするためには、最適な方法を選択する必要があります。

弁護士法人YMPにご相談いただけましたら、ケースに応じた方法をご提案いたしますし、各種の手続きを代理で進めていくことも可能です。債権回収でお困りの場合には、是非ともお気軽にご相談下さい。