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交通事故では、示談交渉の期限に注意!

  • 交通事故

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交通事故に遭ったら、加害者の保険会社と「示談交渉」を行います。その結果により、慰謝料やその他の賠償金が支払われることになりますから、示談交渉は非常に重要です。ただ、示談交渉には、「時効」による「期限」があるので、あまり長く放っておくと、賠償金の支払いを受けられなくなる可能性があります。

今回は、交通事故の示談交渉(損害賠償請求権)の時効について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

示談交渉は「損害賠償請求権」の行使

交通事故に遭ったら、被害者にはさまざまな損害が発生します。ケガをしたら治療費も必要ですし、入院したら付添看護費用や入院雑費も発生します。後遺障害が残ったら、後遺障害慰謝料や逸失利益を相手に払ってもらわなければなりません。このように、被害者が加害者に対して賠償金を請求する権利のことを「損害賠償請求権」と言います。

交通事故の加害者には「不法行為」が成立するので、被害者は加害者に対して損害賠償請求ができます(民法709条)。また、同時に「運行供用者責任」という責任も成立することが多いので、被害者はこの責任にもとづいても、加害者に損害賠償請求することができます(自賠法3条)。

そして、このような損害賠償請求権を具体的に行使する方法が「示談交渉」です。損害賠償請求をするときには、裁判所を通さず、直接加害者やその保険会社に請求してもかまわないからです。示談とは、不法行為の被害者と加害者が話し合って、賠償金の金額や支払い方法を決定する手続きのことです。示談交渉は、「損害賠償請求権」を行使する場面だと言うことを、まずは押さえておきましょう。

損害賠償請求権の期限は「時効」

不法行為の時効の基本的な考え方

それでは、示談交渉の期限はどのくらいになっているのでしょうか?

民法上、不法行為の時効は、「被害者が損害発生及び加害者を知ってから3年」とされています(民法724条)。自賠法の運行供用者責任でもこの規定が準用されているので、同じ期間となります(自賠法4条)。

また、時効期間を計算するときには、「初日不算入の原則」が適用されます。これは、期間の計算をするときに「初日は参入しない」ということです。そこで、交通事故の場合、2日目から3年のカウントを開始することになります。そして、具体的な時効期間の計算方法は、交通故の種類によって異なります。

物損事故のケース

物損事故の場合には、交通事故発生時から3年を計算します。初日不算入の原則がありますから、交通事故の翌日から計算をして、3年が経過した時点で損害賠償請求権の時効が完成します。

人身事故で、後遺障害が残らなかったケース

人身事故で、被害者がケガをしたけれども後遺障害が残らなかったケースがあります。この場合にも、交通事故発生時から3年を計算します。物損事故のケースと同じように、交通事故の翌日から3年が経過したときに、損害賠償請求権が時効消滅します。

人身事故で、後遺障害が残ったケース

人身事故で、被害者がケガをして後遺障害が残ったケースでは、後遺障害の内容が確定した時点である「症状固定時」から3年を計算します。初日不算入の原則があるので、症状固定日の翌日から数えて3年が経過したときに、損害賠償請求権が時効消滅します。

死亡事故のケース

被害者が死亡してしまった死亡事故のケースでは、被害者が死亡したときに損害の内容が確定します。そこで、死亡時から時効期間の進行が始まります。初日不算入の原則があるので、死亡日の翌日から数えて3年が経過したときに、損害賠償請求権の時効が完成して、賠償金請求ができなくなります。

除斥期間について

以上は損害賠償請求権の時効による期限ですが、これ以外に「除斥期間」という期限もあります。除斥期間とは、一定の年数が経過したときに、当然に権利が消滅してしまうことです。損害賠償請求権の場合「不法行為時から20年」が経過した時点で、除斥期間が経過したこととなり、権利の行使が認められなくなります(民法724条)。

そこで、交通事故後20年が経過したら、もはやどのような手段を使っても、賠償金の支払請求は認められなくなってしまいます。

時効が完成してしまいがちなパターン

交通事故で、時効が完成してしまいがちなケースは、以下のような場合です。

  • 保険会社から連絡がないので、放置していた
  • 保険会社の担当者が気に入らないから、無視していた
  • 示談がこじれて話し合いができなくなって、3年が経過した
  • 加害者が無保険(本人)で、連絡が取れなかった
  • 死亡事故で、相続人がまとまることができないまま、3年が経過した
  • 死亡事故で、示談交渉をしたくないので放置していた

上記のように、必ずしも被害者に落ち度がない場合でも、時効は成立してしまいます。それでも時効が成立したら、一切の賠償金請求ができなくなり、被害者の方が一方的に不利益を受けます。そこで、交通事故に遭ったら、時効を完成させないように、早めに示談交渉をして、賠償金を受けとる必要があります。

時効完成を止める方法

時効中断とは

そうはいっても、加害者との話し合いが難航するなどの理由で、3年以内に示談交渉ができないこともあります。その場合には、時効の完成を止める方法があります。それは「時効の中断」です。時効の中断とは、時効の進行が中止することです。中断すると、時効期間は当初に巻き戻り、再度時効完成に必要な期間が経過しないと、時効が完成することがありません。つまり、すでに2年が経過していても、時効を中断させたら、また3年が経過しないと時効は成立しなくなるのです。

時効の中断事由は、いくつかあります。

債務承認

1つは、債務承認です。これは、加害者(支払い義務者)本人が、「債務があります」と認めることです。交通事故の場合、任意保険会社や加害者本人が、賠償義務を認めたら、時効は中断します。「払います」と言った場合だけではなく、一部の支払いに応じた場合にも、債務承認となります。

ただ、相手に債務承認させるとき、口頭で「払います」と言われただけでは不十分です。後で「そのようなことは言っていない」と言われる可能性があるからです。債務承認させるときには、必ず書面で債務承認書を差し入れてもらいましょう。

裁判上の請求

もう1つは、裁判上の請求です。裁判によって権利行使をすると、そのときから時効が中断します。そして、判決が出ると、判決確定時から10年間、時効が延長されます。交通事故の損害賠償請求権は、もともと時効期間が3年の権利ですが、確定判決の時効期間は10年間ですから、裁判をすると10年間時効を延長することができます。

このことからすると、裁判を繰り返したら、永続的に権利を維持することもできそうです。ただ、裁判によっても延長できるのは時効期間のみであり、除斥期間の延長は認められていません。そこで、交通事故が起こったら、どんなに遅くとも、事故発生後20年以内には賠償金の支払いを受ける必要があります。

内容証明郵便による催告

時効完成が目前で、いきなり裁判をすると言われても、準備ができていないこともあるでしょう。その場合には、内容証明郵便によって催告をすると、6ヶ月間だけ時効を延長することができます。その間に裁判を起こせば、時効を確定的に中断させることができるのです。

催告は1回しかできないので、催告後の6ヶ月間にしっかり準備をして、確実に裁判を起こして時効を中断させましょう。

示談交渉の期限が心配な場合、弁護士法人YMPにお任せ下さい!

3年の時効は、過ぎてみるとあっという間です。せっかく賠償金請求権があっても、時効が完成してしまったら、何も請求できなくなります。確実に時効を中断させるためには、弁護士が介入して、相手の保険会社に連絡をしたり、裁判を起こしたりすることがもっとも効果的です。

当事務所でも、交通事故被害者の方の支援に力を入れておりますので、交通事故後、相当な期間が経過していて、時効完成が気になっているなら、一刻も早く、弁護士法人YMPまでご相談下さい。