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死亡事故で発生する損害と、遺族のとるべき対応方法について

  • 交通事故

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交通事故の中でも、死亡事故では遺族の心痛も著しく、実際にもいろいろな困難がつきまといます。何をしても被害者がかえってくるわけではありませんが、被害者の無念を晴らすためにも、加害者に対して正当な民事賠償請求を行い、賠償金を支払わせる必要があると言えます。

今回は、死亡事故のケースで発生する損害の種類と、適切な対応方法について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

死亡事故で発生する損害

まずは、死亡事故が発生したとき、どのような損害が発生するのか、確認しましょう。

死亡事故とは、交通事故によって被害者が死亡したケースです。即死の場合だけではなく、事故後しばらく治療を行い、死亡に至ったケースも死亡事故となります。死亡事故の場合、積極損害と消極損害、慰謝料の3種類の損害が発生します。

積極損害

死亡事故の積極損害は、葬儀費用です。葬儀費用については、実際に支出した金額を基準としますが、基本的には150万円までとなります。ただし、ケースによってはこれより高額な葬儀費用が認められることもありますし、遺体運搬費用や墓石代などが上乗せされることもあります。

また、事故後しばらく治療を続けた後に死亡した場合には、治療関係費や入院付添費用、入院雑費等も認められます。

消極損害

死亡事故の消極損害は、死亡逸失利益です。死亡逸失利益とは、被害者が死亡してしまったことにより、得られなくなってしまった将来の収入のことです。被害者は、交通事故に遭わなければ、就労可能年齢まで働いて収入を得られたはずですが、事故によって働けなくなり、一切の収入を得られなくなります。そこで、その失われた収入を損害として、加害者に請求することができるのです。ただし、死亡すると生活費がかからなくなるので、その分は控除されます。

  • 死亡逸失利益の計算式

死亡逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

死亡逸失利益を請求できる人は、事故前に働いて収入を得ていた人です。
たとえば、会社員や公務員、パートやアルバイト、自営業者やフリーランスなどの人が死亡したら、逸失利益が発生します。また、主婦や主夫などの家事労働者のケースでも、死亡逸失利益が認められますし、子どもや学生、年金生活者のケースでも、死亡逸失利益が発生します。

慰謝料

死亡事故で認められる慰謝料は、死亡慰謝料です。死亡慰謝料とは、被害者が死亡したことによって被った精神的苦痛に対する賠償金です。死亡慰謝料の金額は、以下の通りです。

  • 被害者が一家の大黒柱の場合…2800万円程度
  • 被害者が母親や配偶者の場合…2400万円程度
  • それ以外の場合…2000万円〜2200万円程度

ただし、上記の金額は、弁護士基準という計算方法で計算をした場合のものです。被害者の遺族が直接任意保険会社と示談交渉をすると、「任意保険基準」という低額な基準が使われてしまうため、上記の数字よりも1000万円程度、死亡慰謝料の金額を下げられてしまいます。

死亡事故でよくある問題

次に、死亡事故で注意しておきたい問題点について、説明をします。

遺族がまとまらない

死亡事故が起こったら、被害者自身は死亡してしまうので、相手に賠償金の請求をすることができません。そこで、被害者の相続人である遺族が加害者に対して賠償金請求の手続を進める必要があります。ただ、遺族が複数人いる場合、なかなか遺族の中でまとまることができないケースがあります。保険会社は、遺族の代表者を決めて示談交渉をするように言ってくるので、遺族がまとまらないと、話が進まなくなってしまいます。

加害者から示談や嘆願書を求められる

死亡事故では、加害者の刑事責任が重くなります。そこで、加害者は処罰を軽くするために、被害者との示談を強く望んでくることがよくあります。刑事手続きでは、被害者との示談ができると、それが良い情状となって、被疑者被告人(容疑者)の刑事処分が軽くなるからです。

また、加害者から嘆願書を求められることも多いです。嘆願書とは、被害者の立場から「加害者の刑を軽くして下さい」とお願いする書類です。これがあると、加害者の刑罰はなおさら軽くなるので、加害者は示談と共に嘆願書を求めてきます。

被害者の過失割合が高くなる

死亡事故の場合、被害者側の過失割合が高くなりがちなので、注意が必要です。通常の事故のケースでは、被害者と加害者双方の言い分を聞いて実況見分が行われますし、調書が作成されます。しかし、死亡事故の場合、被害者は自分の主張ができませんので、加害者の言い分に従って、一方的に事故状況が認定されてしまいがちです。

その結果、被害者に高い過失割合が割り当てられて、大きく過失相殺され、賠償金を大幅に減額されてしまいます。

遺族がまとまらない場合の対処方法

死亡事故で、遺族がまとまることができない場合には、いくつか対処方法があります。

まず、損害賠償請求権は、それぞれの相続人が、自分の相続分のみ請求することが認められています。そこで、自分の法定相続分に相当する賠償金の支払いを求めることが可能です。ただ、保険会社は、個別の相続人との示談交渉を受け付けないことが多いです。そこで、個別に請求をするなら、裁判を起こす必要があります。

または、遺族が全員一人の弁護士に依頼して、弁護士を窓口にすれば、示談交渉を進めることも可能となります。遺族の中で、「誰を代表者にすべきか」で意見が合わないなら、弁護士に依頼する方法を検討してみると良いでしょう。

相手から嘆願書を求められた場合の対処方法

加害者から示談を急かされたり嘆願書の作成を求められたりして、対応に困ってしまう遺族の方も多いです。

この場合、示談の条件と、ご自身たちの被害感情を天秤にかけて考えましょう。もし、早期に示談することにより、明らかに賠償金が高額になるのであれば、示談をしてしまうメリットがあります。ただし、示談したり嘆願書を書いたりすると、加害者の刑罰は軽くなります。「どうしても加害者に厳罰を与えたい」ということを優先するなら、「示談はしない」という方向に傾きます。

ただ、示談しなくても、いずれは賠償問題について話し合いをしないといけませんし、後になったら、反対に金額が下がって加害者による誠意を感じられなくなり、余計に不快な思いをする可能性もあります。相手から示談や嘆願書を求められたときに、自分達では対応を決められない場合には、弁護士に相談して、示談するメリットとデメリットについて、いろいろとアドバイスを受けられることをお勧めします。

過失割合に納得できない場合の対処方法

死亡事故で、被害者に過大な過失割合が割り当てられて納得できない場合には、再度事故現場に行って事故の状況を調べたり、実況見分調書を取り寄せて加害者の言い分を確かめたり、ドライブレコーダーの画像や監視カメラの画像を確認したりして、地道に事故の状況を確かめていく必要があります。

また、過失割合の適切な基準をあてはめることも大切です。保険会社は、被害者の遺族が相手の場合、遺族に法的知識がないのを良いことに、不当に高い過失割合を割り当ててくることがあるためです。このようなときにも、やはり弁護士に対応を依頼することが効果的です。弁護士であれば、各種の資料から適切に事故の状況を推測することができますし、過失割合の適切な認定基準を熟知しているので、相手から不当に高い過失割合を割り当てられるおそれもないからです。

死亡事故の苦しみは、少しでも、弁護士にお預け下さい

交通死亡事故では、遺族の心痛は、察するにあまりあります。そのようなとき、賠償問題だけでも弁護士にお任せ下さい。弁護士に依頼されたら、保険会社から不当な減額をされることもありませんし、遺族の方が、賠償問題にかかわるストレスもなくなります。弁護士基準を適用することで、慰謝料も大きく上がります。

賠償金を獲得しても、ご本人は帰ってきませんが、せめて少しでも高額な賠償金を得ることが、被害者への報いとなり、加害者へのペナルティとなります。交通死亡事故で苦しまれているならば、まずは一度、弁護士法人YMPまでご相談下さい。