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交通事故で高次脳機能障害に!後遺障害は何級になる?

  • 交通事故

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交通事故に遭うと、さまざまな後遺障害が残ってしまうことがあります。中でも、頭にケガをすると、重大な後遺障害が残り、その後の生活に重大な影響が及ぶ可能性が高くなります。交通事故には「高次脳機能障害」という症状があり、この症状が出ると、認知症に近い状態となって、日常生活に必要なこともできなくなってしまうことが多いです。

今回は、交通事故の後遺障害の1つである「高次脳機能障害」について、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害は、脳の認知機能障害

高次脳機能障害とは、脳がダメージを受けることにより、各種の認知機能に障害が発生することです。たとえば、脳梗塞などの内部的要因で発症することもありますが、外傷的な要因としては、交通事故が原因になることが非常に多いです。

脳は、記憶や視覚、認識などの各種の認知機能を司る機関ですから、ここが損傷を受けると、人は適切に物事を認知することができなくなります。その意味で、高次脳機能障害の症状は、認知症とも似ている部分があります。

高次脳機能障害の主な症状

高次脳機能障害の主な症状は、以下のようなものとなります。

記憶障害

新しいことを覚えることができない症状と、昔のことを思い出せない症状があります。両方が出ることもあります。

注意力や集中力の欠如

ものごとに集中できなくなったり、1つのことを長時間続けることができなくなったりします。仕事をしている人などの場合、非常に支障が大きくなります。

見当識障害

自分がいる場所や、今が何月何日、何曜日なのか、わからなくなります。時間を守れなくなってしまうことも多いです。

半月空間無視

右半分が見えていないなど、視界の中に見えない場所が発生します。たとえば、なぜか右の壁にぶつかることが増えたり、右半分の食事を残したりするようになります。

遂行機能障害

計画的に行動することができない、2つ以上のことを同時に進められないと言う症状です。仕事をしているときなどに、支障が大きいです。

行動障害

周囲の状況を対応した適切な行動ができなくなったり、我慢ができなくなったりします。

人格変化

それまで温厚だった人が衝動的になったり暴力的になったりする、自己中心的になる、自発性や積極性がなくなって、ぼーっとすることが多くなる、病的に嫉妬深くなる。
本人だけではなく、家族も辛い思いをする症状です。

失行症

行動がうまくできなくなる症状です。たとえば、道具が上手く使えなくなったり、普段の日常の行動が難しくなったりします。

失認症

触っているものや、ものの形や色を認識できなくなったり、人の顔がわからなくなったりします。

失語症

言いたいことを言葉にできなくなったり、相手の話を理解できなくなったり、文字の読み書きができなくなったりします。

このように、高次脳機能障害の症状はさまざまです。一見、後遺障害と気づきにくいものもあります。たとえば、怒りっぽくなったり暴力的になったり自己中心的になったりすることがありますが、これらの症状が出ても、周囲からは「交通事故でストレスが溜まっているのだろう」というくらいにしか受け止められないことがあります。

特に、身体的な症状が特に出ていない軽い症状の場合、交通事故の後遺障害とは気づかれずに、単なる性格の変化などとして見過ごされることが多いです。

高次脳機能障害になる診断名

交通事故で高次脳機能障害になるケースは、主に初診時に「頭部外傷」と診断された場合です。たとえば、以下のようなケースで、高次脳機能障害となりやすいです。

  • びまん性軸索損傷

「びまん性」というのは、脳の全体に広がっている症状ということです。「局所性」の対義語です。軸索というのは、脳の神経細胞の突起の部分です。つまり、頭を強打することなどによって、脳全体の神経が損傷を受けることにより、脳の機能が働かなくなって、高次脳機能障害の症状が発生します。

  • 急性硬膜外血腫
  • 急性硬膜下血腫
  • 外傷性硬膜下水腫
  • 外傷性くも膜下出血

これらの症状は、脳に衝撃が及ぶことにより、脳を覆う膜である「硬膜」や「くも膜」の外や下に血腫(血液の固まり)や水腫(リンパ液などの液体の固まり)ができてしまう症状です。このことにより、脳が圧迫されて各種の障害が発生します。

高次脳機能障害で認められる後遺障害の等級

高次脳機能障害の症状や損傷の程度には、ケースによってかなり差があります。残った障害の内容によって、以下の等級の後遺障害が認定される可能性があります。

  • 1級1号
  • 2級1号
  • 3級3号
  • 5級2号
  • 7級4号
  • 9級10号

1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

身体機能は残っていても、高度の痴呆のため、 日常生活に必要な動作ができず、全面的な介護が必要となった場合です。

2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

判断力が著しく低下したり感情が不安定になったりして、1人での外出が不可能となり、日常生活が自宅内に限定された状態。食事や排泄などの動作は行うことができても、家族による声掛けや看視が必要な状態です。

3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

日常生活は自分でできても、仕事をするのは難しい状態です。

5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

単純作業であればできるけれども、新しい作業や環境に対応できません。一般人より労働能力が著しく低いので、職場の理解や援助が必要となります。

7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

仕事をすることはできても、手順が悪かったり、約束を忘れたり、ミスが多かったりするので、一般人と同じようには働けない状態です。

9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に限定されるもの

普通に仕事ができますが、解決能力などに問題があるので、効率や続力などが不足する状態です。

高次脳機能障害と認定される基準

高次脳機能障害が認定される基準は、以下の4つです。

「頭部外傷」と認められる診断があること

たとえば、脳挫傷や外傷性脳内血腫、頭蓋底骨折や外傷性脳室内出血などの診断名がついていることが必要です。

意識障害が発生していること

事故当初、少なくとも6時間以上の意識障害が発生したことが必要です。もしくは、健忘や軽度の意識障害が1週間以上続いていることが必要となります。

画像所見が認められる

基本的には、MRIなどにより、受傷時の脳の損傷状況が明らかになる場合や、その後の治療によっても治らずに障害が残ってしまったことを明確に確認できることが必要です。たとえば、脳室が拡大していたり、脳が萎縮していたり、脳内に点状に出血していたり、硬膜下やくも膜下出血があったりすると、画像によって異常を確認できます。

高次脳機能障害特有の精神症状が出ている

たとえば、記憶障害や集中力の欠如、感情的になる、不機嫌、自発性がなくなるなど、高次脳機能障害に特有の人格変化が現れた場合などです。「頭部外傷」の診断がある場合に精神症状が出ていると、画像所見がなくても、高次脳機能障害と認められる可能性があります。ただし、「頭部外傷」の診断がついておらず、画像所見もないときに、精神症状があるだけで高次脳機能障害を認められることは難しいです。

高次脳機能障害の難しさ

高次脳機能障害になったとき、本人にも自覚がないことが多いです。常日頃から物事がうまくいかないのは、相手のせいだと思っていることもありますし、「困っていることはない」と主張することもあり、リハビリや治療を拒絶することもよくあります。病気だと気づいていないので、会社でうまく仕事ができなくなったり人間関係を作れなくなったりして、周囲に迷惑がられて困ることも多いです。

また、本人が暴れたり感情的になったりするので、家族が対応に困ることもよくあります。

高次脳機能障害になったときには、まずは周囲が異常に気づくことが大切です。交通事故後に意識障害が発生した場合や頭部外傷の診断がついた場合において、その後の本人の様子がおかしいと感じたら、早めに脳神経外科を受診しましょう。

高次脳機能障害となったら、弁護士法人YMPまでご相談ください

交通事故で被害者が高次脳機能障害となった場合、いろいろと困難な問題が発生するので、弁護士によるサポートを受ける必要性が高いです。

適切に後遺障害の認定を受けて、補償を受けるためにも、お早めに弁護士法人YMPまでご相談下さい。