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相手の預貯金や給料を差し押さえる、強制執行の方法を解説!

  • 債権回収

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お金を貸し付けていたり、売掛金があったりしても、相手が支払をしないことがあります。その場合、相手に対して裁判を起こし、強制執行(差押え)をすることによって債権回収することができます。

今回は、債務者の預貯金や給料を差し押さえるための強制執行の方法を、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

強制執行(差押え)とは

債務者が約束通りの支払をしないときには、債務者の資産や債権を差し押さえることにより、債権回収することができます。差押えとは、裁判所から命令を出してもらうことにより、相手の資産や債権を強制的に換価して、債権者に支払いをさせる手続きです。差押えをすると、債務者が任意で支払をしない場合にも、取り立てによって支払を受けることができます。

このように強力な効果があるので、差押えは、どのようなケースでも認められるわけではありません。差押えをするためには、「債務名義」が必要です。債務名義とは、「差押えを認めます」という効果を与えられた文書のことです。具体的には以下のようなものが債務名義となります。

  • 公正証書(強制執行認諾条項付き)
  • 判決書
  • 調停調書
  • 審判書

公正証書は、公証役場で作成するものですが、他はすべて裁判所で発行されるものです。公正証書を作成しておくと、すぐにでも差押えをすることができますが、公正証書がない場合には、いったん訴訟や調停をしないと差押えができません。スムーズに債権回収するためには、貸金、売買などの各種契約を締結するときに、なるべく公正証書にしておくことをお勧めします。

強制執行(差押え)の種類

差押えには、差押えの対象により、以下の3種類があります。

  • 不動産執行(不動産差押え)
  • 動産執行(動産差押え)
  • 債権執行(債権差押え)

不動産執行(不動産差押え)

不動産差押えは、相手が所有している不動産を差し押さえる手続きです。不動産を差し押さえると、その不動産を強制的に売却(競売)して、売却代金から債権回収をすることができます。ただし、競売にはかなりの長い時間がかかります。

動産執行(動産差押え)

動産差押えは、相手が所有している貴金属や骨董品、パソコンなどの資産を差し押さえる手続きです。動産を差し押さえた場合にも競売をしなければいけないので、時間がかかりますし、費用がかかる割に高く売れないので、あまり実効性がないことが多いです。

債権執行(債権差押え)

債権差押えは、相手の預貯金や給料、生命保険などの「債権」を差し押さえる手続きです。債権を差し押さえると、第三債務者から直接支払を受けることができるので、多額の債権がある場合などには効果的に債権回収することができます。また、かかる期間が短く費用も安いです。

債権差押えのメリット

まず、債権差押えは、他の差押え(不動産や動産)と比べて早く債権回収できるというメリットがあります。不動産や動産の場合、順序に従って競売を進めなければなりません。不動産の場合、半年はかかりますし、1年くらいかかるケースもあります。これに対し、債権差押えなら1ヶ月もかからず似回収できることが多いです。

また、債権差押えは費用が安いです。不動産競売などの場合には裁判所に支払う「予納金」が必要です。裁判所にもよりますが、最低でも60万円程度が必要となり、100万円以上かかってしまうことも多いですが、債権差押えの場合には予納金は不要です。かかる費用は、全体でも1万円程度で済みます。

債権差押えが向いているケース

以下のようなケースでは、債権差押えを検討すると良いでしょう。

  • 相手の債権の具体的な内容を把握している
  • 相手が多額の預貯金や投資信託をもっている
  • 相手が高額な生命保険に加入している
  • スピーディに債権回収したい
  • 相手に不動産などの目立った資産がない

債権差押えの手順、流れ

債権差押えを行う場合には、以下の手順で進めましょう。

送達証明書、執行文を入手する

まずは、「送達証明書」「執行文」という2種類の書類を入手する必要があります。送達証明書とは、公正証書や判決書、調停調書などの債務名義が相手に送達されたことを証明する書類です。執行文とは、債務名義によって強制執行(差押え)をしてもよい、というお墨付きを与える書類です。

送達証明書も執行文は、公正証書の場合には公証役場、判決書なら判決を下した地方裁判所など、調停調書や審判書の場合には家庭裁判所で、それぞれ発行してもらう必要があります。申請の際、数百円の収入印紙が必要です。

判決書で差押えをする場合には「確定証明書」という書類も必要になりますので、同時に申請をして取得しましょう。

債権差押え命令を申し立てる

必要な書類が揃ったら、裁判所に債権差押え命令を申し立てます。申立先の裁判所は、相手の住所地を管轄する地方裁判所です。もともと訴訟をしていた裁判所とは異なるケースもあるので、注意が必要です。

申立の際の必要書類

申立の際には、以下の書類が必要です。

  • 債権差押え命令申立書
  • 当事者目録
  • 請求債権目録
  • 差押え債権目録
  • 債務名義
  • 執行文
  • 送達証明書
  • 商業登記簿謄本

費用について

差押えにかかる費用は、以下の通りです。

  • 収入印紙代4000円
  • 郵便切手代3000円程度(裁判所や事案によります)

相手の人数や、次に紹介する陳述催告の申立をするかどうかによっても、費用が変わってきます。具体的には、申立の裁判所の書記官に問合せをしましょう。

陳述催告の申立について

債権差押えをするときには、必ず「陳述催告の申立」をすることをお勧めします。陳述催告とは、差押えの申立をした後、第三債務者(預貯金の場合には銀行、生命保険の場合には生命保険会社など、もともとの支払をする債務者)に対し、債権の有無や支払の意思があるかどうかを照会する手続きです。

陳述催告の申立をしておくと、第三債務者からこうした内容についての回答書を送ってもらえるので、差押えがスムーズに進みます。陳述催告の申立をするときには、上記の必要書類に足して「陳述催告の申立書」を添付する必要があります。

第三債務者に連絡をして、支払を受ける

以上のようにして債権差押えを申し立てると、裁判所で書類の審査があり、問題なければ「債権差押え命令」が発令されます。

債務者への送達と取り立て

まずは第三債務者に送られて、第三債務者が陳述催告の申立への回答書を送ってきます。その後、債権差押え命令が債務者(相手本人)に送達されます。債務者への送達が第三債務者への送達より遅れるのは、同時に送達をすると、相手が銀行等から出金をして財産隠しをする可能性があるからです。

債務者に送達されてから1週間が経過すると、取り立てをすることができるようになります。回答書の内容も踏まえて第三債務者とやり取りをして、必要な支払を受けましょう。

差押えが競合した場合

ただ、他の債権者と差押えが競合することがあります。その場合、預金の残高が全額の支払いに足りれば全員が債権回収することができますが、足りない場合には、裁判所によって平等に分配(配当)されることになります。

そこで、債務者が支払いを滞納した場合には、なるべく早めに資産調査をして、他の債権者に先んじて差押えの申立をすることが重要です。

強制執行・差押えによる債権回収は、弁護士法人YMPにお任せ下さい

債権回収をするときには、スピードが要求されます。迷っている間に他の債権者に先に取り立てをされたり、債務者に破産されたりすると、もはや回収ができなくなってしまうからです。自社で差押えをしようとしても、資産調査の方法がわからなかったり、申立に手間取ったりして、スムーズに進まないことが多いです。

弁護士法人YMPでは、スピーディな債権回収、確実な債権回収を旨としており、効果的に取り立てを行います。未回収の債権があってお困りの場合には、是非とも一度、ご相談下さい。