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少額訴訟とは?利用できるケースとポイントを解説!

  • 債権回収

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債権回収を行うときには、いろいろな方法があるので、その中から適切な方法を選択しなければなりません。債権回収の手法の1つに「少額訴訟」がありますが、これは、どのような手続きで、どういったケースで利用するメリットがあるのでしょうか?

今回は、少額訴訟とその活用方法のポイントについて、債権回収に詳しい弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

少額訴訟とは

少額訴訟とは、請求金額が60万円以下の金銭請求をするときに利用できる、簡易な裁判手続きのことです。少額訴訟をすると、すべての審理を1日で終わらせることができます。その日中に判決が出るので、通常裁判と比べると、はるかに早くトラブルを解決することが可能です。

ただ、相手が少額訴訟を利用することに対して異議を出すと、少額訴訟は通常訴訟に移行します。そうなると、トラブルを解決することはできません。

少額訴訟を利用できるケース

少額訴訟を利用できるのは、どういったケースなのでしょうか?要件を確認しましょう。

60万円以下の請求

1つは、60万円以下の請求ということです。60万円を超える金額の請求をするときには、少額訴訟ではなく通常訴訟を利用する必要があります。

金銭請求

もう1つは、「金銭請求」であるということです。お金の支払い以外の請求をするときには、通常訴訟を利用する必要があります。たとえば、建物の明け渡しや物の引き渡し、登記の請求などについては、少額訴訟で解決することができません。

少額訴訟を利用すべきケースの例

たとえば、以下のようなケースでは、少額訴訟をするメリットがあります。

  • 未払賃料を請求したい(明け渡しは求めない)
  • 業務委託料を請求したい
  • 60万円以下のお金を貸していて、返還請求したい
  • 売買代金を支払ってほしい
  • 敷金返還請求をしたい
  • 未払給料を請求したい
  • 物損などの小さな交通事故で、相手方が本人

他にも、相手に60万円以下の金銭請求をするときには、少額訴訟を検討してみると良いでしょう。

少額訴訟を申し立てる方法

少額訴訟を申し立てるときには、以下の手順で進めましょう。

訴状を作成する

まずは、「訴状」を作成しなければなりません。訴状とは、相手に対する請求の基本となる書類です。当事者の他、「請求の趣旨」と「請求の原因」を記載します。

請求の趣旨とは、求める結論のことです。「〇〇円及び年〇〇%の割合による遅延損害金を支払え」というのが、その内容となります。請求の原因とは、金銭を請求する理由です。少額訴訟も訴訟の1種ですから、きっちり法律的な要件に従って請求原因を記載する必要があります。

訴訟の類型ごとに参考書式があるので、適宜参照して作成すると良いでしょう。

http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_minzisosyou/

弁護士にご相談いただけましたら、作成方法をアドバイスいたしますし、訴状の作成代行も可能です。

証拠を集める

訴状作成と並行して、証拠を集める必要があります。少額訴訟は訴訟の1種なので、原告に請求原因の立証責任があるからです。証拠がないと、せっかく裁判を起こしても負けてしまいま。

たとえば貸金返還請求なら金銭消費貸借契約書、未払賃料や敷金返還請求なら賃貸借契約書、賃貸借契約の解約通知書など、いろいろな資料を集めましょう。どのような証拠を集めたら良いかわからない場合には、弁護士がアドバイスすることも可能です。

収入印紙や切手等を用意する

少額訴訟を起こすときには、郵便切手や収入印紙が必要です。ケースに応じて必要な金額や内訳が異なるので、裁判所に確認するなどして、必要な分を用意しましょう。

自分や相手が法人の場合には、商業登記簿謄本(登記事項証明書)が必要となりますので、法務局で取得しましょう。

少額訴訟の費用

少額訴訟では、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?

収入印紙代

まず、請求金額に応じて収入印紙代がかかります。

請求金額 印紙代
10万円まで  1000円
20万円まで 2000円
30万円まで 3000円
40万円まで 4000円
50万円まで 5000円
60万円まで 6000円

郵便局や印紙販売所で購入し、訴状に貼付して提出しましょう。

郵便切手

郵便切手は、各地の簡易裁判所によって金額や内訳が異なりますが、だいたい4000円程度となります。正確には、申立先の簡易裁判所の書記官に聞いて、確認しましょう。

少額訴訟の流れ

少額訴訟の流れを確認しておきます。

申立

少額訴訟は、まずは、申立をするところから始まります。申立先は、簡易裁判所です。基本的には被告(相手)の住所地を管轄する簡易裁判所となりますが、債権者の住所地などの他の裁判所を利用できることもありますので、できるだけ便利なところで申立をしましょう。

申立の際には、用意した訴状と証拠、印紙等を提出します。すると、裁判所で受け付けてもらえます。

事前準備

提訴すると、裁判所から期日の連絡があります。基本的に、その日だけですべての手続きが終わって判決が言い渡されます。往復の時間を含めると、半日近くかかることもあるので、予定を空けておきましょう。

また、事前に裁判所の書記官と準備のためのやり取りを行います。事実関係の確認や、追加の資料提出、証人がいる場合には用意することもあります。

答弁書を受け取る

期日前に被告が答弁書を提出した場合には、原告宛にも答弁書が届けられます。相手が提出した証拠が一緒に届くこともあります。相手がどのような反論をしているのか、確認しておきましょう。

期日及び判決

期日が来たら、裁判所で審理が行われます。審理では、これまで当事者が提出した書面や資料の内容を確認したり、証人調べをしたりします。審理全体にかかる時間は、ケースにもよりますが、だいたい30分~2時間程度です。審理を終えたら、その日中に裁判官が判決を下します。

和解について

少額訴訟では、和解するケースも多いです。和解するときには、裁判所の司法委員が関与して話し合いをすすめてくれます。和解が成立すると、判決をしてもらうよりも確実に相手から支払を受けやすいので、審理において和解の話が出たら、一度は話合いのテーブルについて話をしてみると良いでしょう。

少額訴訟のメリット

少額訴訟には、以下のようなメリットがあります。

早く解決できる

少額訴訟の何よりのメリットは、スピーディに紛争を解決できることでしょう。通常訴訟なら半年はかかってしまうことが普通ですが、少額訴訟なら1日の期日ですべてが終わるので、一ヶ月程度で解決することができます。

手続きが簡単で費用が安い

少額訴訟は、比較的簡単な手続きです。弁護士に依頼せず、債権者が自分一人で進めることも可能です。このことで弁護士費用を節約できますし、手続き自体にかかる費用も、そう高くはないので、少額の請求でも元を取ることができます。

少額訴訟のデメリット

少額訴訟には、一定のデメリットもあるので注意が必要です。

敗訴リスクがある

まず、少額訴訟も1種の訴訟ですから、きちんと法的な主張と立証をしないと負けます。原告が明らかに正当な場合には利用すると良いですが、グレーな事案で申立をすると、敗訴してしまう可能性があります。

異議を出されると通常訴訟に移行する

少額訴訟の大きなデメリットは、相手が異議を出すと通常訴訟に移行してしまうことです。手続きの当初の段階で異議を出されることもありますし、判決が出た後に異議を出されて通常訴訟に移行してしまうこともあります。

たとえば、交通事故で相手に保険会社がついているケースなどでは、少額訴訟をしても,ほとんどのケースで異議を出されます。少額訴訟を利用するかどうかについては、ケースに応じて見極めが必要です。

債権回収をお考えなら、弁護士法人YMPまでご相談ください

債権回収をするときには、もっとも適した手段を検討する必要があります。少額訴訟ももちろんそのうちの1つとして有効です。

当事務所でも、効果的な債権回収のためのアドバイス及び手続代行を行っていますので、未払金の取り立てを行いたい方は、是非とも一度、ご相談下さい。