個人再生のスケジュールとかかる期間は?
- 債務整理
公開日:
最終更新日:
個人再生をすると、借金返済額が大きく減額されますし、住宅ローンを抱えている場合には住宅資金特別条項を利用することができるので、大切なマイホームを守りながら、借金問題を解決することが可能となります。
個人再生をするときには、どのようなスケジュールで進んでいき、どのくらいの期間がかかるのか、押さえておくことが大切です。以下では、債務整理に精力的に取り組んでいる弁護士法人YMPの弁護士が、個人再生のスケジュールとかかる期間について、わかりやすく解説します。
個人再生のスケジュール
個人再生をするときのスケジュールは、以下の通りです。
- 弁護士に依頼する
- 必要書類を集める
- 申立を行う
- 個人再生委員と面談する
- 積立をする
- 個人再生手続き開始決定が下りる
- 債権額を確定させる
- 再生計画案を提出する
- 書面決議を行う
- 再生計画認可決定が下りる
- 支払いを開始する
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
弁護士に依頼する(督促及び支払いのストップ)
個人再生は、裁判所を利用する非常に複雑な手続きなので、弁護士に依頼することが普通です。そこで、以下では弁護士に手続を依頼する前提で、説明をします。
個人再生を始めるときには、まずは弁護士に相談をして、個人再生の依頼をします。弁護士との間で委任契約書を作成して委任状を渡すと、弁護士が各債権者に対して受任通知と債権調査票を発送します。このタイミングで、債権者からの支払い督促は止まります。弁護士が介入すると、貸金業者は債務者に直接請求することが認められないからです(貸金業法21条1項9号)。
また、債権額を確定するため、借金の支払いもストップします。再び支払いが開始するのは、個人再生の手続きが終了し、再生計画案が認可された後です。
必要書類を集める
個人再生を弁護士に依頼したら、必要書類を収集します。個人再生の必要書類には、以下のようなものがあります。
- 住民票
- 給与明細書、源泉徴収表
- 確定申告書
- 市民税の証明書
- 家計収支表
- 預貯金通帳
- 生命保険証書
- 解約返戻金証明書
- 車検証
- 退職金証明書
- 不動産の全部事項証明書
- 固定資産税評価証明書、査定書
- 住宅ローンの契約書
- 保証委託契約書
上記のすべてが常に必要というわけではありませんし、上記以外の書類が必要なケースもあります。事案によって必要書類が異なるので、弁護士の指示通りに集めていきましょう。
申立を行う
必要書類が揃ったら、弁護士事務所に持参します。このとき、弁護士がすでに作成している申立書の内容を確認して、署名押印をします。
このようにして債権調査が終了し、必要書類が揃ったら、個人再生の申立を行います。申立については、弁護士が書類を揃えて裁判所で手続きを行うので、依頼者は特に何もしなくてかまいません。申立を終えると、弁護士から通知があります。
(裁判所によっては)個人再生委員と面談する
裁判所によっては、個人再生委員を選任する運用をしているところがあります。たとえば東京地方裁判所では、基本的に全件で個人再生委員を選任しています。その場合、申立後に個人再生委員と面談をしなければなりません。面談の際には、借入金額の確認や今後の支払い可能性、財産状況などについて確認されます。
積立(予納金の支払い)をする
申立後、多くの裁判所では、債務者は「積立金」を開始しなければなりません。個人再生委員が選任される裁判所では、積立金は個人再生委員の報酬となりますし、他の裁判所では、積立金は最終的には債務者に返還されます。裁判所によっては、予納金の支払いを確認できないと、個人再生の手続き開始決定が出ないところもあります。
積立金を行うときには、毎月一定額を裁判所に支払うか、自分が管理する通帳内に入金していきます。積立金の金額は、個人再生後に実際に債権者に支払うことが予定されている金額かそれ以上の金額となります。だいたい、毎月数万円(3万円~5万円程度)となります。
個人再生手続き開始決定が下りる
申立後、特に不備がなく、予納金の支払いも確認できたら、個人再生手続き開始決定が下ります。これにより、正式に個人再生の手続きが開始されます。
債権額を確定させる
個人再生の手続き開始決定が下りたら、その後、債権額を確定させるための手続きが行われます。
まずは、裁判所から各債権者に対して債権調査が行われます。そして、債権届が出たら、弁護士がその内容を検討して、問題があったら異議を出します。異議が出た場合、債権者側に不服があったら、評価申立をすることができます。評価申立があると、裁判所が債権額を調査して、最終的な債権額を決定します。
再生計画案を提出する
債権額が確定したら、債務者は、再生計画案を作成して裁判所に提出します。再生計画案については、提出期間が定められるので、必ず期間内に提出する必要があります。弁護士に手続きを依頼していたら、弁護士が適正に計算を行い、再生計画案を作成して裁判所に提出するので、依頼者は特に何もしなくてもかまいません。提出された再生計画案に不備や修正すべき事項があれば、裁判所から連絡があるので補正を行います。
書面決議を行う
債務者側から再生計画案の提出があると、裁判所は各債権者に対し、書面決議を行います。書面決議とは、債権者に対して再生計画案を送付し、それに対する意見を聞く手続きです。
個人再生の中でも小規模個人再生の場合には、債権者の過半数(人数または債権額)が反対すると、個人再生の手続きが廃止されてしまうので、認可決定が下りません。書面決議により、債権者の過半数から異議が出なければ、特に問題はありません。
また、書面決議が行われるのは、小規模個人再生のケースのみです。給与所得者等再生の場合、この手続きは行われません。
再生計画認可決定が下りる
書面決議でも特に多くの異議が出ることなく、再生計画案の内容に特に不備もない場合、裁判所は、再生計画案の認可決定を行います。これにより、正式に借金が減額されたこととなります(ただし、最後まで支払いを続ける必要はあります)。
支払いを開始する
再生計画認可決定が下りると、その後5週間くらいで決定内容が確定します。実際に債権者への支払いが開始するのは、その翌月からであることが多いです。
また、個人再生での支払いは、3ヶ月ごととなるので、当初に3ヶ月分をまとめて支払うことになります。積立金をしていたケースでは、そのお金を使っても良いですが、そうでないケースでは、当初の支払いができるように、手続き中から支払い原資を作っておくことが必要です。
個人再生にかかる期間
個人再生にかかる期間は、個人再生委員が選任されるかどうかによって異なります。
個人再生委員が選任されない場合には、弁護士に依頼してから支払いが開始するまで、だいたい6ヶ月くらいです。個人再生委員が選任されるケースでは、弁護士に依頼してから支払いが開始するまで、だいたい8ヶ月くらいかかります。
個人再生を早く終わらせる工夫
個人再生が長びいてしまうパターンとしては、依頼者がなかなか必要書類を集められないケースが典型的です。
個人再生では、必要書類が揃わない限り、申立を行うことができません。ところが、必要書類の数は非常に多いので、後回しにしているとなかなか集めきることができません。効率的に集めてしまわないと、手続きがどんどん遅れてしまいます。早い方なら1ヶ月で集めてしまうことができますが、遅い方の場合、半年経っても集められないこともあります。書類集めに半年かかると、その分申立が半年遅れてしまうので、個人再生が終わるまでには1年以上かかってしまいます。個人再生を早く終わらせるためには、当初の書類集めに早めに取り組み、効率的に集めきってしまうことが重要です。
また、手続き中は、弁護士や裁判所からの指示事項にきちんと従い、質問や補正があれば、早急に対応しましょう。
個人再生を成功させたいなら、まずは弁護士に相談を
このように、個人再生は比較的重厚な債務整理の方法ですが、弁護士に依頼していると、それほど大変なことはありません。普通に対応していたら、個人再生に失敗する心配も要りません。
ただし、事案によっては困難なケースもありますし、どういった事案においても個人再生を成功させるためには、良い弁護士を選ぶ必要性が高いことも事実です。
弁護士法人YMPでは、債務整理に非常に積極的に取り組んでおり、これまで多くの方の借金問題を解決してきました。これから個人再生をしたいと考えておられるなら、まずはお気軽にご相談ください。