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個人再生に失敗するパターンとは?

  • 債務整理

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個人再生をすると、相当多額に膨らんでしまった借金でも、大きく減額することができるので、借金問題の解決には非常に効果的です。住宅ローン特則を利用すれば家を守ることもできるので、これから個人再生をしたいと考えている方もおられるでしょう。

しかし、個人再生にも失敗してしまうケースがあります。以下では、個人再生に失敗するパターンについて、弁護士法人YMPの弁護士が解説します。

個人再生が失敗するパターン

個人再生に失敗するパターンにはいくつもの類型がありますが、典型的なものは、以下の通りです。

  • 借金額が5000万円を超えている
  • 収入が足りない、安定していない
  • 債権者を隠す
  • 財産を隠す
  • 予納金を支払わない
  • 積立金ができない
  • 過半数の債権者が反対する

以下で、それぞれがどのような場合なのか、解説します。

個人再生の失敗パターン(1)借金額が5000万円を超えている

1つ目に、借金額が5000万円を超えている場合があります。個人再生は、法律によって限度額が5000万円と決まっているので、5000万円を超えた借金があると、申立をしても棄却されてしまいます。つまり、個人再生の手続きを開始してもらうことすらできないのです。また、途中で5000万円を超えていることが判明したら、再生計画案を認可してもらうことができません。

ただ、住宅資金特別条項を利用する場合の住宅ローンの金額は、この5000万円の金額に含まれません。たとえば、住宅ローンが4000万円、他の借金が1500万円ある場合、住宅資金特別条項を利用するなら、借金額は1500万円と評価されるので、個人再生することができます。これに対し、同じ状況でも住宅資金特別条項を利用しないなら、借金額が5500万円となるので、個人再生することはできません。

借金額が5000万円を超えているなら、自己破産をする方が良いでしょう。

個人再生の失敗パターン(2)収入が足りない、安定していない

個人再生をするときには、一定以上かつ安定した収入が必要となります。個人再生後には、残った借金を確実に3年の間に返済していかなければならないためです。(ただし、3年での返済がどうしても苦しい場合、5年にまで延ばすことができます)

個人再生では、裁判所が監視をするため、収入要件についてはかなり厳しく判断されます。収入が明らかに足りない場合、申立をしても棄却されてしまう可能性がありますし、手続きが開始した後も、収入が足りないことが判明すると、再生計画案を認可してもらうことができません。再生計画案が認可されないと、借金が減額されないため、個人再生には失敗します。

個人再生の失敗パターン(3)債権者を隠す

個人再生をするとき、一部の債権者を隠したいと考える人がいます。たとえば、友人や知人、親族などの個人から借金をしている場合、そういった人に迷惑をかけたくないので、裁判所に申告しないことがありますし、保証人がついている借金がある場合にも、その借金を個人再生の対象にすると、保証人に迷惑がかかると思って借金を隠そうとします。

このように、債権者を隠そうとすると、個人再生に失敗する可能性が非常に高まります。手続き中に債権者隠しが判明したら、再生計画案を提出しても、不認可になってしまう可能性があります。また、不認可にならなくても、一部の債権者に対して支払いをした分、借金返済額に上乗せされてしまうので、手続き後に支払うべき金額が上がってしまいます。すると、手続き後の返済が苦しくなって、途中で返済ができなくなり、やはり個人再生に失敗してしまうリスクが高まります。

個人再生の失敗パターン(4)財産を隠す

個人再生をしても、債務者の財産がなくなることはありません。この点は、自己破産とは異なる個人再生のメリットとも言えます。ただ、個人再生では、債務者が所持している財産評価分は、最低限債権者に支払いをしなければならないという決まりがあります。このことを、「精算価値保障原則」といいます。そこで、多額の財産を持っていると、その分多くの借金を返済しなければならないことになります。

このことを嫌い、裁判所に対して過小に財産を申告しようとする債務者の方がおられます。しかし、このような財産隠しをすると、個人再生に失敗します。手続きの途中で財産隠しが判明すると、悪質な場合には廃止によって個人再生が終了してしまうことがありますし、再生計画案が不認可になってしまう可能性もあります。

いったん個人再生の認可決定が下りても、後から財産隠しが発覚すると、再生計画の認可決定が取り消されることもあります。

個人再生の失敗パターン(5)予納金を支払わない

個人再生では、裁判所に「予納金」を支払わなければなりません。予納金には、官報公告予納金と個人再生委員の予納金があります。こうした予納金を支払わないと、個人再生の手続き開始決定をしてもらうことができず、申立が棄却されてしまいます。

個人再生の失敗パターン(6)積立金ができない

個人再生を申し立てると、その後「積立金」をすることが必要となります。積立金は、個人再生後に支払いが必要になりそうな金額を、毎月裁判所に支払ったり自分の通帳に積み立てたりするものです。積立金をする目的は、手続き後の返済を確実に行っていけるか、裁判所が確認するためです。そこで、積立金を確実にできない場合、裁判所から「再生計画を認可しても、支払いができないのではないか」、と思われてしまいます。そうなると、再生計画案を認可してもらうことができず、個人再生に失敗します。

個人再生の失敗パターン(7)過半数の債権者が反対する

小規模個人再生とは

個人再生の中でも、小規模個人再生では、再生計画が認可されるために「過半数の債権者の反対がないこと」が必要です。小規模個人再生とは、原則的なタイプの個人再生です。サラリーマンや公務員だけではなく、自営業者やパート、アルバイト、年金生活者など、どのような人でも利用できる可能性があります。

「過半数の債権者」の意味

小規模個人再生で過半数の債権者の反対があると、個人再生の手続きが廃止されてしまうので、個人再生に失敗します。

このときの「過半数」では、債権者の人数と債権額両方が問題となります。

まず、過半数の人数の債権者が反対すると、個人再生が廃止されますし、過半数の債権額の債権者が反対した場合にも、やはり個人再生が廃止されてしまいます。たとえば、債権者が10社ある場合、うち6社が反対したら、個人再生が廃止されます。

また、借金総額が3000万円で債権者が10社あり、うち1社が2000万円の債権を有している場合には、2000万円の債権者1社のみが反対したケースでも、やはり個人再生が廃止されてしまいます。

このようなことがあるので、個人再生を成功させるためには、債権者への根回しが必要になることもあります。

個人再生の失敗パターン(8)認可後の支払いができなくなる

個人再生では、再生計画認可決定後の支払いも重要です。せっかく再生計画を認可してもらっても、その後原則3年間、確実に支払いができないと、再生計画を取り消されてしまうおそれがあります。そうなると、借金の減額はなかったことになるので、債権者から元のように督促や取り立てが来てしまいます。

そこで、個人再生の認可決定を受けたら、その後は生活にも注意をして、必ず最後まで払いきることが必要です。

個人再生に失敗した場合の対応方法

もし、何らかの理由で個人再生に失敗した場合、再度個人再生を申し立てるか、自己破産をすることがメインの選択肢となります。

たとえば、借金額が大きすぎる場合や収入が足りない場合には、自己破産が有効な解決方法となります。予納金を支払わなかったり積立金を怠ったり、財産隠し、債権者隠しをしたりして失敗した場合などには、再度、適正な方法で個人再生をやり直すことも可能です。

また、債権者から反対されて個人再生が廃止された場合には、給与所得者等再生をすることで、解決できる場合があります。給与所得者等再生では、再生計画が認可されるために、債権者の同意が要件となっていないためです。債権者が全員反対していても、給与所得者等再生なら再生計画案を認めてもらうことができます。

個人再生を成功させたいなら、まずは弁護士に相談を

以上のように、個人再生が失敗する要因にはいろいろありますが、どのようなケースでも対応方法はあります。弁護士法人YMPは、個人再生に非常に精通しており、これまで多くの方の個人再生を成功させてきました。これから個人再生で借金問題を解決されたい場合、自分に個人再生が向いているかどうかがわからない場合などには、是非とも一度、ご相談下さい。